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入道雲の親玉とイカヅチ兄貴

天気予報のおねいさん

「夕立にはお気をつけて」

日本地図を指差して、説明していたけれど
いつまで経っても雨は降らず…

雨が降れば涼しくなるかな?と
ワクワク期待した。


空の上

入道雲の親玉がイカヅチ兄貴と
綿飴たべながら天気会議

「暑すぎるからさ雨降してよ」

地上の人間達が空に向かって叫んでいた。
着ているシャツの背中には大きな『地図』が
できている

声に反応して、入道雲の親玉とイカヅチ兄貴は下界を見下ろした。

ふーん
イカヅチ兄貴は鼻で笑う

入道雲の親玉は雨の素の氷の粒に砂糖をかけて齧りながら、イカヅチ兄貴をチラ見した。

イカヅチ兄貴は綿菓子をむしゃむしゃ
食べ続けていた。

捻くれ者のイカヅチ兄貴
「頼み方が気に入らない!今日は雨は降らさない!」

入道雲の親玉の砂糖がけ氷をバリバリと音を立てて食べ出した。
「甘ったるいな!」

(だったら、食べなきゃいいのに)
入道雲の親玉はこっそりと呟いた。

空の上
待機中だった雨粒はイカヅチ兄貴の迫力に凍りついた

氷になった雨粒を
掴みながら、イカヅチ兄貴は
「暑いからさ、これでかき氷を作ろう」

(暑いなら、雨降らせればいいのに)
砂糖がけ氷をガリガリ齧りながら、
入道雲の親玉は思ったが、雷をこちらに向けられてはたまらないので、言われた通りに、かき氷機を出して来て、ガリガリとかき氷を
作った。

ガリガリガリガリ
削られていく氷の粒が弾け飛び
地上に落ちていく

「あれ?雹が降って来た」
地上の人間が騒いでいる
「やっぱり降るのかな?晴天だけど」

そんな声に見向きもせずに
むしゃむしゃ
入道雲とイカヅチ兄貴は食べることに夢中。

いつしか、夕焼け空になり、地上からは夕焼け小焼けのメロディが流れ出した。
「今夜は降らないか…また、熱帯夜だね」
そんな声が聞こえてきた。

それでも、二人は食べるのをやめない。
空の上には氷が一杯あるからね

綿菓子むしゃむしゃ
かき氷、しゃりしゃり

二人は歌いながら食べ続けた。

空はすっかり暗くなり
星が夜を告げた
それでも、やめない二人に
月が星の一つを投げた
流れ星になった星が二人をつついた。

「いたっ!」

二人は食べるのをやめて辺りを見回して
太陽が月に変わったのを知った。

一番星が
「この食いしん坊め!仕事もしないで!」
と二人を叱ったが、二人は聞いてない。

月のスポットライト浴びながら
星が可愛く歌いだした。

入道雲の親玉は
うっとりしながら
溶けるように眠りつき

イカヅチ兄貴は
明日は出番があるかな?
おやすみなさいと寝言を呟いた。


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