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春の恋歌*抑えきれない思い


霙散みぞれちる 故郷ふるさとる うみ

春呼はるよかぜと 岸辺きしべ慟哭どうこく


三羽烏さん、お題いただきました。

季語はまるっきり度外視でいい、ということで春の短歌です。

「春を呼ぶ」と「慟哭」の対で(悲しい恋かも?)と、
想像してくれるかな・・・と不安ですが。

私の住んでいるところは北国に見えて、雪はほとんどなく、
その代わり3月にベタ雪、ドカ雪が降るのが春がやってくる合図なので、
4月までは、天気に気が抜けません。

直接の土の上に大きなテントが張られて、
椅子がビールケースで、テーブルがベニヤ板の居酒屋で、
友人か同僚と夜を楽しく過ごしたことがあります。

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311の後のことでした。

「俺はこの先、捨て石になって生きていくんだ。
自分の人生はそうだと納得している」

近くのテーブルから、そんな感じの明るい会話が聞こえてきました。

誰が喋ってるのかは分からないけれど、
守るべき人もいる年代であろう、若い男性のグループでした。


瓦礫運びしてた運送会社の大きな看板、
それは用事がなければ通らない、道路の入り口にありました。

表道路からよく見えたけれども、
何年も経って、裏に書いてある文字を知りました。

でっかいでっかい筆文字で、誰の字なのか
「俺たちがやるしかねーべ!」って書かれていました。

これを見ながら、毎朝瓦礫作業に出かけてたのか、と知りました。


彼らと同じ働き盛りの年代で、
家族を追って入水して命を絶った男性もいます。

現実的な女性には、きっと分からない男性の部分だと思いますが、
「恋や愛にただ泣けばいいんだよ」という気持ちを込めて、
海に沈んだ男性の姿を、明るくしてみました。

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私の中では、ですが。

たくさん泣いて、その恋心や愛情を力にして欲しかったです。

泣いて泣いて、
「さあ、ラーメンでも食べるかっ」ってセリフを、
大きな声で短歌の中の彼につぶやかせたいです。


※投稿後に「降る」を「散る」に訂正しました。
「散る」では悲しすぎる、と最初思ったのですが、
やはり「降る」+「風」で情景を重くしたくないので。

#令和版百人一首_恋の巻 #百人一首恋の巻春

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野原 綾
花の苗を買って、世界を美しくすることに頑張ります♡どうぞお楽しみに♡

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