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キレない人間になるため爪を整えねば

私の爪の形は、割と好き。

面積的にも、ちゃんと「爪」という存在を証明している。

指先は爪のカーブに同調していて、少し伸びると、
伸びたその爪の白が結構綺麗。

絶対土だとか、何かの汚れでその白を変えたくない。

それでもって、ほんのもう少し形を整えてマニキュアを塗ると綺麗な形。

ネイルアートを趣味にしたら、絶対はまってしまうこの形。

爪も皮膚の一部なので、皮膚呼吸が厳しくなるのか、結構ネック。

素の爪のままの方が楽なので、念入りのケアくらいで爪を見つめる。

歳を取っていくたび、節が気になるし、指自体が美しいわけじゃないので、
私の素敵な爪の存在は忘れてしまいそうになる。

だけど先日、爪の存在に感動した出来事があった。


ある女性の訪問を受けた。

「さっき主人がそばにいたので話せなかったんだけどね」と口を開く。

いや、そもそも私が用事があったのはご主人の方で、
あなたがじっと、ふたりの話を、関係ないだろうと言う話に、
玄関先で一緒に、最初から最後まで混じっていただけなんだけれども。

まず、何を話したいのか意図が掴めなかった。

なんの用事なのか想像できずに、困った。

「主人は知らないことだし、あなたは知っているのかと思って」

それは情報のひとつではあるだろうけど、事実かどうか分からないことで、
どうでもいいことではないかと頭をひねる。

「えっそうなの?」というふうに驚けば良かったと、後悔することになる。

驚かなかったので、彼女は話の組み立て直しに時間をかけたように思える。

しかし、正直な私は、驚く芝居ができない。

それから、彼女にまつわる人間関係を話し始めるので、
もはや私の頭の中はパニックだ。

(さっきの話となんの関係が?)

だいぶ人の悪口を聞いたところで、
彼女は人間関係に自分はこのように気を使って考えている、という
主張をしたいことに気づいてきた。

しかし、この会話をノートに議事録のようにまとめたとしたら、
収拾がつかないではないか。

言いたいことの意図が分からず、適当に話を合わせるので、
こちらのボロも、ボロボロ出たはず。

日にちが経って「こんなこと言ってたのよ」とか、
適当に相槌をうつことで「彼女もこう思ってる」と噂話に載せられそう。

いや、彼女の親しい人って誰?

携帯番号を聞いているので、彼女のご主人に用事ができたら、
次回から絶対、電話にしようとは、心に決めた。

玄関先で30分近くも話し込んでいるのに、何の用事か分からない。

分かったのは「余計なことは人には言うな、俺にも言うな」という、
至極真っ当に思える彼女のご主人の考えだ。

彼女の「交友」というものが、
彼女なりの優先順位が独特で、意味不明が明確すぎる。

その土台には、それを伝えるべき立場の人、それを伝えるべき肩書の人、
それを伝えるべき血縁関係の人などの、人間の優先順位があるようだった。

いや、そんなこと誰が伝えてもいいんじゃない?と喉元から出かかったが、
息を吸いながら、(話が長くなるので聞いてろ)と自分を激励した。

どうしてこの頃、キレそうな会話にばかり出逢うのだろう・・・。

玄関先は冷房も届かず、蒸し暑かった。

いつもなら、夕方の外の涼しい風にあたって話したかったが、
日中の肉体労働が響いて、靴箱に体を半分預けながら聞くのが楽だった。

そう、服を着替えて顔を洗って、夕飯の支度の前にひと息つこうと、
冷たいカフェオレを作って、ソファに座って、
岩塚製菓の「田舎のおかき」を半分かじったところでチャイムがなった。

「田舎のおかき」の塩味とザラメ味はいまひとつなので、
岩塚製菓では、どうか、醤油味を極めて欲しい。

大好きです。

その幸せなひとときを、訳の分からない話に付き合うことになった。

「暑いので良ければ、おあがり下さい」とでも言おうものなら、
きっと、夕飯の献立を簡単なものに変えざるを得なかっただろう。

彼女は他人の生活には興味ないように見える。

自分にとって「良い」と思われることをしてるのだろうけれど、
相手にとっての迷惑、という考えまで至らないように思える。

この玄関先での30分は、彼女を知るうえで有意義な時間ではあった。

結論。

Aさんのことをうちの主人に話に来たが、
私はAさんのことでこういうことを知っているが、主人に知らせていない。
○○○〇ということをふたりとも知らないようだが知っているか?
ここで驚かず、つい、それは関係ないことなのでと返答してしまったため、
彼女は話の組み立てを必死に変えたようだ。
そこからますます訳が分からなくなったが、
BさんやCさんに自分はこのように気を使っている。
特にBさんは、Aさんと近い親戚なので気の使いようは完璧を目指している。
それはAさんも自分も、Bさんとのトラブルに合ってきたからだ。
そのため、先ほどの主人との話に入れなかったのだ。

いや、ともかく用事があったのはご主人で、
その用事はご主人と話したことでちゃんと済ませたんですが。

私の鈍感力がひどいのか、記事にまとめてみたけれど、
何を話しに来たのかいまでもよく分からない・・・。

たぶん「えーっそうなのおお?分かりました。教えてくれてありがとう」と
途中で入れれば、もしや15分程度で終わったかも知れないと反省。

何度も息を吸って、止めて、キレないように頑張ったけれど、
もっといい方法を私は今回のことで思いついてしまった。

相手に見えないように、爪で痛い位肌を突きさし続けることです。

これは簡単で完璧です。

痛すぎて、私の生命の危険を脅かし続けるので、
相手の話は些末すぎて、どうでも良くなります。

この年になって、リストカットの意味が分かりました。

みんな必死に生きてるんだよね。

長めに整えた爪が割けて、前の晩切り詰めたばかりなので助かりましたが。

本当に痛くて辛かったですが、キレずにいられてとても良かったです。

みんな、がんばろう。

簡単にキレてはいけない。


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