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12か月の園芸日記*2024年5月13日

カレル・チャペックさんのつもりで、
来年のためにきちんと園芸日記を付けて置こうと思う。

久しぶりの雨が降った。

花畑のいくつかの水がめに、たくさん溜まればいいなと期待する。

このところ雨水が底をついてきて、近隣の倉庫の水道をお借りしていた。

「好きに使って構わないから」とは言われるものの、
割と、いや結構良い運動になってしまうので、やはり雨はありがたい。

5月に入ってからは、眺めるのが大変なほどいろんな花が咲きだした。

車で通りすぎるので、桜が咲いたのを気が付かない男性も多いが、
さすがに大きな花の牡丹はぼんやりでも気が付くらしく、
「芍薬、咲いているね」と、名前の正否はともかく、声を掛けられる。

もう遠い震災前の笑い話だけれど、
色とりどりに咲かせていたペチュニアに目を止めて、
軽トラックの窓から日焼けした顔とたくましい腕を突き出し、
「朝顔、綺麗だな!」と感嘆してくれた、今は亡き人の顔を思い出す。

土地の角に置いた最後の白い牡丹が満開になったが、
フリルの重なりが殊の外美しく、もう少し土の改良に心を砕いて、
さらに居心地よくさせなければと思う。

この場所は固く乾いた土だったが、アジュガやエキナセアや水仙、
芝桜、ツツジなどを混植したところ、
柔らかな雑草も増えてきて、その分虫や微生物も働き始めたせいか、
徐々に良くなってきているように思う。

そうは言っても深いところは園芸向きの土ではないので、
もう少し盛り上げて、牡丹の根をしっかり張らせなければと感じる。

「欲しい」とお願いしていた、ひと冬越えたウニの殻をいただいた。

今年のウニ漁が始まる前でないと、新しい殻が重なってしまう。

自分の山に殻を捨てる場所を作ったところ、
他の漁師さんも捨てていくようになり(もちろん許可を得て)、
別の方もわざわざ看板まで作って、
捨て場所が分かるようにしているところが、なんだか笑える。

一度持ち主と一緒に出掛けて袋詰めしたが、とてもよい有機カルシウムだ。

日本の国土は多くが火山灰土なので、
畑の土自体がカルシウム不足の、それが国民病のようなものだが、
土の改良に自然のものをいただけるのはありがたい。

カゴで7つもいただいたので、
いくつかはウェイトリフティングさながら持ち上げて、
雑草捨て場の木枠の中にぶちまけた。

結構達成感のある、気持ちいい作業。

残りは、挿し木で育てている桜を植える予定の、細長い場所に、
ザーザーと流し込むように、これも気持ちよくぶちまけた。

スギナが生えて「ここは酸性土壌ですよ」と教えてくれるところに、
ここから取り出して、少しずつ混ぜていこうと思う。

ひと冬越したサラサラ状態なので、匂いもなく使いやすい。

大根のような柔らかな根菜類の畑には、
作物に傷がついてしまうので、ウニの殻は使えないらしい。

山に存在しない海のものなら、きっと鹿よけにもなってくれるはず。

不審なものだからね。


モッコウバラは枝の先まで、隙間なく、あふれるように花が付いている。

目に鮮やかなボリュームの花姿だが、
昨年の剪定をやりすぎたのか、新しいシュートに栄養を取られたのか、
今年は花付きがいまひとつのように思う。

気になるので、もう少し枝のひろがりを丁寧に観察しようと思う。

5月のテーマ色は、やはり白にしたいとつくづく考えてしまう。

シャスターデイジーが、思いのほかあちこちで増えている。

強健の宿根草で、切り花に出来る花は嬉しい。

今年のうちに、増えたシャスターデイジーを、
桜の足元の、水仙の回りを囲むように植え替えしたい。

咲き終わった水仙の花首は切ったけれど、
これからどんどん葉が茶色に枯れていくので目隠しにもなるし、
シャスターデイジーの白い花びらと、
中央の黄色は、いかにも「お花」の定番の色と形で可愛らしい。

それに、思いのほかオルレアが強健な花だと知った。

わざわざ種を取って置いて撒いたのに、
砂利のあいだにさえ、勝手に種を飛ばして咲いている。

もちろん丈が短くなるので、もっと柔らかい土の花壇に、
ちゃんとした居場所を作らなければと思う。

レースフラワーのようなこのタイプは、案外厄介なのかも知れない。

遠くの山肌も、これからこのような外来種の花で白っぽくなっていく。

下草を刈るなどの手入れする人間のいない山ばかりなので、
この外来種の白い花はどんどん増えて、
茸が生えなくなっていると心配されている。

ともかく。

足元に夏雪草の白、中間にオルレアとシャスターデイジーの白、
もう少し上の空中に牡丹や芍薬の白。

これらの白が共演した風景に、差し色は春が黄色、初夏は紫、と、
いい感じに引き立てあってくれるかもしれない。

白はすべてを中和させてくれる色だ。

黄色と白のコンビ色のダッチアイリスを皮切りに、
紺や黄色や臙脂色のジャーマンアイリスも咲き始めた。

アヤメ科の花は、百合よりも姿が楚々として美しいと思う。

一番のお気に入りは濃紺の、アヤメ科の、その名もアヤメだ。

ご近所の方が下さったもので、
昨日は、農作業中のところに通りかかったのでお礼を伝えた。

「お陰様で今年も綺麗です」

「あれはどんどん増えるから、もっと綺麗になるよ」

たしかに、夜のとばりが地上に舞い降りたように、美しい濃紺が見事で、
回りの空気まで染まっていくような、その色を見るのは楽しみだ。

牡丹は1本を除いて、ようやく花首を切り落とし終わった。

剪定の時期はいつだったか確認しなければ。

桜にも、そろそろお礼肥を与えなければと思う。

薔薇の若葉も落ち着いてきてる様子なので、
晴れたら、鹿よけのテープはそろそろはずすつもりだ。

紫蘭も葉を広げて蕾を付けてきている。

種で増えたのか、離れたところにも一本の蕾が目に付いた。

この時期は、雑草と増やしたい花を気を付けて見分けなければいけない。

良い雨なので、引っ越しさせたユーフォルビアが根付いてくれればいいな。

今日のお休みは読書で落ち着く前に、
今年二度目の味噌づくりをやってしまわなければ。

昨夜、大豆を付けておくのを忘れてしまうところだった。

ひと雨ごとに、まだ緑が濃くなっていく。


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