過去と未来と思い出と*夢と悲しさと切なさと
もしも、昔のお隣さんの庭にピンク色の紫木蓮がなかったら、
これほど木蓮は好きにならなかったと思う。
春の訪れは足元からやって来て、
紫木蓮の花が咲く頃には、寒さに気を取られることもなく、
陽気な空を見上げるようになったせいかも知れない。
木蓮の花は辛夷の花と似ているけれども、あんな風に開ききらない。
紫木蓮と辛夷は、花と同時に葉も芽を出し始めるが、
白木蓮は、思いっきり花だけを咲かす違いがある。
辛夷の中国名は日本辛夷と呼ばれる固有種だ。
辛夷は、世界最古の薬学書と言われる「神農本草経」の
上品に収載されている。
辛夷は辛夷と呼ばれて、
花蕾は頭痛や鼻づまりを治してくれる漢方として使われる。
これらは総称して、一般にマグノリアと呼ばれる。
ヨーロッパでは人気の高木らしく、花言葉は「自然への愛」や
「崇高」「忍耐」「威厳」「持続性」など、誇り高さが連想される。
それもそのはず、マグノリアは恐竜が生きていた1億年前頃には、
すでに存在していたとされ、香りの良い花をつけて、
地球と人類の歴史を眺めてきた。
「この曲、『マグノリアの小径』すごく好きなのよね」
友人とのやりとりを思い出す。
彼女は、
「私は『マグノリアの花たち』っていうタイトルの映画が好きなのよ」
私は、
「これも2人のシンクロのひとつね」と返信をしたと思う。
彼女に言わなかった一言。
「この歌を聴くと、なんだか空からあの時のお喋りが聞こえてくるみたい」
だから、大好きな白木蓮の花を見ると、(バカね…)と思いながら、
悲しさと切なさを思い出しても、幸せな気持ちになる。
「私には叶えたい夢が、まだたくさんあるんだ。一緒に見よう」
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