兄との忘れられない旅 「線状降水帯が過ぎ去った別府の水平線に朝日が登る」 230713
3日前の出来事。
法事の後、「別府へ行かんか?」と上の兄に誘われた。私は3兄弟の末っ子だ。兄は兄弟3人で行きたかったようだが、下の兄が仕事で行けない。
私はといえば特段断る理由もないし、「宿代出すから」とか言われれば、当然行くことになる。
今までなかったと思うよ、こんなこと。
だが、今回の豪雨による土砂崩れでJRは不通。代行バスはあるものの、うまく動いてるのか分からず時間が読めない。
どうしようか、と兄は迷いに迷ったようだが、結局乗り捨てのレンタカーを借り、九州を西から東へ横断することを選んだ。
たしかに宿は予約してあるのだけど、高速も途中まで通行止めなのだ。
はて、行けるのか?
だが、一度決めたら、引き戻れないタイプの兄は迷い悩んだ末、一般道を突き進むことにした。
線状降水帯の中を、、、
今行くか?
出発前の朝マック。
「どこかで雨が通り過ぎるのを待ったほうがいいよ」と二人でマック頬張りながら私は言ったのだが、私の助言を聞こえないフリに、無視して兄は進む。
ブー🚙
ザー☔
ザー☔ザー☔ザー☔!!!
えー!
1時間だと93mm!!
やばいな!
兄に状況説明をした。
「今、雨雲と同じ速度で東へ走ってるよ! これじゃ、いつまでたっても雨は止まんよ!」
と言う私。
なのに、、
「いや、○○hooの予測やと雨雲は10分で抜けるで」
と言う。
「いやいや、そうかもしれんけど、雨雲と同じような速度で東へ走ってるんやから、いつまでも土砂降りなんやて!」
………。
シャッ、シャッ、シャッ、シャッ、、、、
ワイパーはせわしなく動くが、
前は白い。
フロントガラス向こうの看板文字が見えない。危ない!
対向車線の車から水しぶきがやたら飛んで来る。
あっ、デカいトラックが!!、、と思った途端!!
バァッッシャャャーーーン!!!
スピード出してたデカいトラックが溜まった水しぶきを大量にはねた、車が揺れる。おおぉぉぉー!
うがー!!もう私はキレた。。。
「こんな時走るのはバカやで! この気象情報は気象庁なんよ。信じられんの!!? 今、同じ速度で線状降水帯の中を東へ走ってんのやから雨止むわけない! 車止めてや!! 事故するよ!! 右は川やし! 左は崖!! 崩れるよ!! 」
「……。」
兄は無言で速度を落としはじめた。そして、駐車場らしきに停めて言った。
「いやぁ、あんな、高速が通行止めなりそうやから、なる前に別府に行こう思ったんよ」と言う。
う〜ん、私も兄の気持ちはわかってるつもり。最近の私は病気したこともあり、そうそう旅行に出かけられなかった。そこで、兄は法事を利用し、これまたそうそうないだろう3兄弟での旅行を企てたのだ。なんとか弟を別府に連れて行き元気にさせたかったのだと思う。
正直な気持ちなど弟に恥ずかしくて伝えられない兄だろうし、おせっかいを表し出すのも好きじゃない兄なのだ。
兄は、なんかよくわからんが「長男」としての気持ちを、弟たちに表したいのだろう。それを「3兄弟の旅」にして託したかったのだ。
でもな、こんな時に走らんでもよかろ。
一般道から由布院へ入る。
雨が止んだ。
その後、一般道でなんとか無事に別府にたどり着いた時、
「すごいやろ? レンタカーにしてよかったやろ?」と兄は言う。その後何度もだ。
兄は今回の決行を大いに評価して欲しいようだった。
別府
兄は即、地獄めぐりをすると言う。
雨上がりのムシムシ、地獄の熱さも加わりながら…。
ひえ〜!
この頃にはなぜか青空まで広がる!
たくさん色々とスマホで撮りまくっていたら、buuーz⤵️⤵️、、!
あっ、スマホの充電が切れた!
地獄めぐりの途中や。
来る途中、あの土砂降りの中を走る助手席側で、ずっと線状降水帯を追っていたせいだ…。唖然。充電器持ってない。
もう写真は兄に任せた。
その後、海地獄、鬼石坊主地獄、かまど地獄のすべてを巡る。
やはり海地獄のきれいな青の池、血の池地獄の赤はいい。
兄から後でラインに写真を送ってもらおう。
良かった〜、ありがとうお兄様〜。
けど疲れたよ〜、めちゃ暑かった〜。
ホテル到着
ふ〜、宿に入れば地獄ではない良き露天風呂。
上がれば、熱々炊きたて出来たての良き飯だ。ビールも美味い。
そういえば、兄と私が面と向かって飲むのは初めてかもしれない。
もっともっと喋っとけばよかったが、秘密の話が聞けた。
兄はカエルが苦手だったようだが、私はそんなこと知らなかった。だが、兄によると、、
カエルの解剖を学校でやる時、カエルを持ってくる係となった兄は、カエルを捕まえることが出来ず、6つ下の私をわざわざ連れだし捕まえさせたそうだ。
「覚えとる?」
と聞かれたが、「いや、知らん」と答えた。
覚えとるわけなかろ。兄のカエル嫌いも知らなかったのだ。
幼稚園児の弟にカエルを捕まえさせた中学生の兄の心。弟の私は兄の心のヒーローだったのだ。初めてわかったぞ。
だからワニがいた鬼山地獄では「わー、 わー! ギャーギャー」言ってたのだ。
そんなくだらん話をして、さて寝る。
兄は「わし、いびきデカいらしいから離して寝よう」と部屋の隅と隅へ頭を反対向きに布団を敷いてもらう。
「いびきなんかこっちもかくよ」と私は笑ったが、兄が寝入ると、、、
だだだだ、大丈夫か?? といういびきだった。ヽ((◎д◎))ゝ、、、、、、(-_-)zzz
いびき地獄。
離れて寝る。
(。-ω-)zzz. . . (。゚ω゚) ハッ!
翌朝、4時半起き!
日の出前に別府の浜に出る。
晴れれば朝日がきれいに登る別府湾。
兄は調べていた。
下駄履いて二人で歩く。黎明の色は美しい。月も見えた。
砂浜を歩こう。
#わたしと海
忘れることのない砂浜と海。
忘れることのない、線状降水帯から抜けた別府に登る朝日を兄とのぞむ
#旅の準備
色々な準備はするだろうが、、
直前になれば天気予報アプリの使い方は知っておいたほうがいいだろうなぁ。
おすすめは気象庁の「雨雲の動き」と「キキクル」。
しかしまぁ、忘れられない旅となった。
身の危険と線状降水帯がよく分かる旅。⛈⛈⛈