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読書週報|11/18(月)〜24(日)10冊

過去の握力 未来の浮力 あしたを生きる手引書|ジェーン・スー,桜林直子

生きていくなかで繰り返し読んでいきたい一冊。

わたしは思考回路が圧倒的にサクちゃん側だ。
「自分の性格も考え方ももう今更どうしようもない」と半分諦め、半分開きなおって生きていくしかないみたいなところがわたしにはずっとある。
うまくいかないのもいつもどおりだし、傷つきたくないのに傷つくのも、傷つけたくないのに傷つけてしまうのもこれ以上はもうどうしようにもない……

けれど、お二人の対談や考え方に触れて、すぐには無理でも少しずつ練習を繰り返しながら変えていけることができるんだ、遅くもなんともないんだ…!と寄り添い背中に手をそっとあててくれているような優しさと強さがある。

物事の見方や自分というハンドルの握り方を意識するだけで、いままで見えていなかった世界がどんどん広がっていくんだろうなと思うと下を向いてばかりではいられない。
易々と他人に委ねてしまうのはやめて、自分を生きていくのだ。

結局、人生 最後に残る趣味は何か|林望

『百冊で耕す』や『あの本、読みました?』で新聞書評について読んだり見たりするうちに、週末だけ新聞書評目的に新聞を買う習慣をはじめた。
こちらは先々週くらいだったと思うけれど、それを読んで気になっていた本。

わたしも趣味はなにかといえば「読書」
次いで「ドラマ・映画・YouTube鑑賞」と最近はアートにも興味が…という全部“みる”ものばかり。
試行錯誤しながらも、こうして感想を書くという能動的な行動をはじめたことは良いことらしいと気づく。

リンボウ先生のお言葉を読むと、私も「リュートやってみたいと思ってたんだよな」とか「短歌もやってみたいし…」とか「写真も撮りたいし…」「旅行も行きたいな」「韓国語もう一回ちゃんとやりたいな」など次から次へとやりたいことが湧いてくる。

されど趣味。あなどるなかれ趣味。
人生は一度きりで、あとどれくらい残されているかは分からない。それならやりたいことを思いきってやって楽しまなくてはもったいない。

ミステリ・トランスミッター 謎解きはメッセージの中に|斜線堂有紀

収録されている五編すべてに共通するのは「人に伝える方法をどうするか?」ということ。
あれこれ想像を膨らませ、知恵を振り絞りどうにかこうにか相手に伝えようと力を注ぐ。

言葉当てクイズ(というのか?)以心伝心ゲームのような、制限時間内に出されたお題の言葉を相手に当ててもらうために、具体的なそれに近しい言葉などを使って正解まで導くゲームを思い出す。
どんどん正解していくと盛りあがるし、「それだけで分かったの!?」と思うほどのミラクルさにめちゃくちゃ沸いたりする(わたしだけ?)

こうしたゲームが成り立つように、対面の相手でさえ“正確に(自分の伝えたいことを)伝える”ことの難しさをあらためて実感する。
そうなると直接自分の伝えたいことを伝えられない場合は?遠い場所にいる相手には?母国語が違う場合は?など、どの短編も想像をかき立てられるような絶妙な塩梅があってクセになる。

斜線堂先生の作品を読むとこうした読後感がより一層味わえるのでつい手にとってしまう。
わたしは「ある女王の死」と「妹の夫」が特に好き。

密室の如き籠るもの|三津田信三

刀城言耶シリーズの第一短編集。
シリーズにそれぞれついている帯に刊行されている作品が記載されているけれど、これに惑わされた。
購入当時は、長編シリーズ第四作目『山魔の如き嗤うもの』と第五作目『水魑の如き沈むもの 』を同時にお迎えし、しばらくは読み終わりそうになっても焦らずに過ごせるとほくほくしていた。
しかしこの短編集がどうやら四作目と五作目の間らしいぞ…!?と気づいてすぐにネットで購入。
ここで焦るとは。

長編は(私が読んだ4作品とも)たっぷりとした分厚さに比例してものすごく読み応えがある。それは短編となってもいかんなく発揮されていて、あっという間に読み終えてしまった。

そんなことがありえるのか…?と思ってしまうような事件や事柄が主人公である刀城言耶の謎解きによって「お〜…なるほどな」と納得させられてしまう不思議な魅力がある。
そしてホラーミステリというだけあって、ぶるっと鳥肌がたつような怖さもしっかりあって、読了後もひたひたじわじわとした後味に浸っている。

怪談のテープ起こし|三津田信三

夜に読まなくてよかった。怖かった。
これは夜、眠れないときに思い出したら終わるやつ。
「ぎゃー!」と叫びだしそうな恐怖より「えっ…!」「どういうこと…?」というような、ゾワゾワくる恐怖がどれだけ恐ろしいかをホラー小説を読むようになってからより実感するようになってきた。
朝宮運河さんが、読了後に感じた「まさにそういうことなんです…!」と気持ちを解説されており唸る。
わたしの薄い感想が透けてしまうほど素晴らしい解説なので、未読の方でご興味のある方はぜひ…!と強くオススメしたい。

禍家|三津田信三

三津田先生の家シリーズ。
書店で全然お見かけすることができずで、しばらくうずうずする日々を過ごしていたけれど、ようやく出会えたのでお迎えした。(ほか二作品も同時購入)
家ホラーは(特に)夜に読むと危険すぎる。明るいうちにと思ったけれど、それでも怖すぎた……海外ホラー作品は物語でも映像でもわりと大丈夫な傾向が自分にはあるけれど、日本のホラー作品に関してはありえそうな身近な恐怖に震える……
読んだそばから、トイレ行くの怖い、お風呂に入っていて物音が聞こえるとビビる、頭洗っているときにやたらと振り返ってしまう、隣の家から聞こえる生活音にやたら反応してしまう、暗いのが怖くて部屋中の電気つけまくる……など異様に警戒しちゃうのが特に家系(ラーメンみたいな言い方になってしまった…!)
わたしは一軒家で生活した経験がないので余計に怖かった。

逢魔宿り|三津田信三

今週4冊目ですね、三津田先生。
これを読み終えたあと下腹が痛みだしたのでしばらく横になって唸りながら過ごす。
わたしは何度か物語にのめり込みすぎて寝込んだ経験があるので、体調に影響がでる(おもしろい)作品だと身をもって実感することとなった。
全部本当なのか、はたまた全部フィクションなのか、何割が真実で嘘なのかを考察したとしても、読み手としては100%、もしくは100%以上怖かったことは事実である。
こちらは図書館で借りたものなので、手元に置いておきたくあらためて購入した。

炭酸水と犬|砂村かいり

読み進めているのにいくらページをめくってもめくっても進んだ感じがせず、結局どうなるんや…!と頭抱えながら読み終えた。そして悶えた。
登場人物のあるセリフにそこまで読んできた物語がバババッと頭のなかで駆けめぐり、ぐっと込みあがるものがあって泣く。
だいぶ「こいつ(ら)マジで…!!」と腹立たしい思いをしてきたこともあって余計に。
書いてるいまも思いだして泣きそう。
ネタバレになるとあれなので書き方が難しいけれど、もう圧倒的にあの子がいいんですよ……わたしだったらあんなにああでああだったらああです。
(断言しちゃう)
(ネタバレ以前になんとふんわりな感想……)

とりいそぎ図書館で借りて読んだけれど、初版限定の後日談も読みたいので購入決定。

愛じゃないならこれは何|斜線堂有紀

「恋愛は健康に悪い」とほんタメで斜線堂先生もおっしゃっていたけど、自分自身にも心当たりがある短編が「健康で文化的な最低限度の恋愛」だった。
いま思い返すと10年くらい前までの自分は、自分に自信が特になかったし(自信があるってどういうことをいうんだろうみたいなところはまだ考えていかなくちゃいけないところではあるけれど)
とにかく「好きになってもらえるような自分じゃないとダメ」みたいなところがあって、良くも悪くも好きな相手に寄せにいってしまって“元からない自分”をいかにも“あるような自分”で固めていっていたなと。
器用でもなく興味がないものはとことん興味がない自分にとって、こういうのは努力しつづけられないし、大体うまくいかない。(っていうのを今度は大丈夫と根拠のない自信で(こういうときは変に自信がある…)何回も繰り返して数年後に気づくんですが)

よくも悪くも恋愛はそのときの自分自身にも生活にも、大きくいっちゃうと人生にとっても影響力が大きいし、侵食して食い尽くされて後ろを振り返ったら道が崩れ落ちてぽっかり穴が空いてる…みたいなことがあって、まあそれを経験してもなお同じことを繰り返して崩落させまくってここまできたみたいなことが恋愛に限って起きたり起きなかったり……
(つまり学習能力がなかったということ)

キラキラ甘い恋愛なんてこの世に存在するのか…?
いや、どこかでそういう恋愛もあってほしいと願ってしまうくらいの攻撃力の高さがめちゃくちゃ現実的すぎる…!

「ミニカーだって一生推してろ」も好きだったので『星が人を愛すことなかれ』も購入した。楽しみ!

君の地球が平らになりますように|斜線堂有紀

『愛じゃないならこれは何』に続く斜線堂節が効いたさまざまな恋のお話。
甘くドキドキとするような、毎日がキラキラと光り輝くような恋ではなく、ずしんと重くどろっとした恋が詰め込まれててやっぱり良い。

落ちるところまで落ちる!行くところまで行く!という(良いのか悪いのか)潔さというか勢いがあるのとないのでは、その後の結果が著しく左右されたりってことが意外とある気がする。
遅れをとって後悔するなら、まず飛び込まなくては始まらん!みたいな絶対参考にしないでほしいやつ。
大体はそのあと後悔してきた記憶が……(滝汗)

あと自分の想像していた展開にならない恋の行方の描き方がもう絶妙で…!
ヘドバンしたいくらい全肯定。これが人生。

周りにどう思われようとなりふりかまわず感情をさらけ出してぶつけまくって、後悔しないように自分が思う道を進んでいく「大円団の前に死ぬ」が特に好き。

◯今週の感想(不定期)

考え方や物事の捉え方や人生について学んだり、ホラーや恋愛ものを読んだりと、自分としてはかなり感情を揺さぶられる一週間だった。

特に砂村かいり先生の作品でぎゅうぅぅ〜…!とキュン(キュン)ドキ(ドキ)し、斜線堂有紀先生の恋愛短編を読んで、ぐぐぐっっ…痛みも感じつつ変な脈拍になる気分を味わったりと両方の差がありすぎたので、良い意味で疲労が……

30代になっても胸キュンできる感情があってそれを楽しめる自分に安心し、やっぱ現実ではそうはいかんよな!!!!と落ちつける自分もいて少しは成長というか学習していたのだなと安心する(笑)
10代のころの自分が読んだとしたら、情緒不安定になってただろうなと思うとそれもまたおもしろい。


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