読書週報|11/11(月)〜11/17(日)9冊
死ぬまで生きる日記|土門蘭
内臓がギュッと掴まれ、喉がヒリヒリと焼けつくような苦しさに、これは私だと錯覚するほど共感した。
この本を書店で手にとったとき、久しぶりにものすごく鬱々としていて、やっぱり自分にはSNS上でも人と関わることは向いてないと落ち込み、とても塞ぎ込んでいた。こういう気分の浮き沈みは早かれ遅かれ必ず落ちつくことは頭では分かっていても、いざその真っ只中から一時的にでも抜け出せなくなると、どうしようにも不安で消えたくなる。
私も土門さんのように小学生のころから濃度の差はあれど、ずっと「死にたい」と思いながら生きてきた。違うのは中学〜高校までは自分を傷つける時期があったこと。あのころから自分で最後を決める覚悟はなかったけれど、どうしようにもない苦しくてつらい気持ちを痛みに変えて耐えていたように思う。
いつになったら「生きるのがしんどい」「死んでもいい」という気持ちがなくなるのか。
その疑問の答えが全て詰まった本だった。
私だけがずっとこんなふうに考えてしまうのかと、おかしいのかもしれないと思っていた。
土門さんと『死ぬまで生きる日記』を読んだ読者の方々のなかにも、同じような気持ちの方がいるんだと知った。
声にだしていうことはなくても、自分だけじゃないという心強さができたこと、そんな気持ちを抱えたまま生きていく自分でもいいのだと思えるようになりつつあること、お守りのような大切な一冊に出会えて本当に良かった。
本は眺めたり触ったりが楽しい|青山南
「本はどう読んでもいい!(読まなくてもいい)」の帯分にとても惹かれて手にとった一冊。
購入したのが『死ぬまで生きる日記』とさほど変わらない時期で、読書をする気になれない、集中できないと思っていたけれど、私が思う“読めない”は最初から最後まで通して読みきる気力がない(湧かない)から読めないと思っているからだとこの本を読みはじめて気づいた。
(特に)小説の場合、最初から最後まで読んだあとに、あとがきや解説を読むという順番が自分のなかであたりまえになっていて、ミステリにいたってはネタバレの可能性があるから解説から読むなんてとてもできん…!と思っていたけれど、解説を読んでから物語を読みすすめる面白さや、あえて結末がどうなるか読んで分かったうえで最初から読みすすめる大胆さなど、自分ではやったことのない本の楽しみ方がたくさん紹介されていて“読む(読まない)”ことの自由さに視野をガバッと広げてもらった。
あとは「読む気になれない…」といいつつ、自分の本棚に並んでいる本を眺めたり、書店に行って気になる本を手にとって触ったり、中身をパラパラと見たり、買ったり…などとしていたことの全部が、本を楽しんでいた時間だったんだと、とても愛おしく思えることができた。
ぼくたちに、もうモノは必要ない。[増補版]|佐々木典士
私は元・浪費家マキシマリストである。
(ミニマリストになるための生活改善運動のことはまた機会があれば記事にしようと思う)
今年に入って引っ越しを機に本格的にモノを減らしはじめ、引っ越し後も定期的に見直しながら生活をつづけて11ヶ月経ったけれど、結果的に自分にはミニマリストの考えや生活の仕方やモノとの向き合い方が合っているということが分かった。
これまでつづけてきた生活改善運動が身について、読んでいるとうんうんと共感することがたくさん増えていた。自分にも少しずつミニマリズムが浸透してきているのかなとうれしい気持ちになる。
読み終えるたび自然と家のなかを見渡し、まだ見直すことができるモノがあるかも…!と動きだしてしまうのは間違いなしである。
イクサガミ 天/イクサガミ 地|今村翔吾
歴史難しい、年号、名前覚えられない云々…を言い訳に時代小説や武士が登場する作品を読んだことがほぼない(漫画以外)
書店で何十回も見かけて気になりはしていたけれど、読もう!というきっかけのひとつはprime videoで配信されている『あの本、読みました?』という番組で今村翔吾先生がご出演されているのを拝見したこと。
『イクサガミ』はエンタメ性のある作品なので、まず最初に読むのにオススメというようなことをおっしゃっていたこと。
もうひとつ『イクサガミ 人』がまもなく発売され、来年『イクサガミ 神』が発売予定であるというお知らせをSNSで拝見したこと。
読みはじめるならいまだ…!と書店に走った。
なんておもしろいの……!!
わたしが好きな要素全部盛りやん…!
『イクサガミ 地』が発売された時点で読んでいたら「続きはいつ発売になるんだ…!」とヤキモキして、しばらくのたうちまわっていたなと想像するとゾッとする。
立ちのぼる土埃、風を切る音、緊迫する息づかい、木々のざわめき、刀が交わり火花が散るさま...手に汗握るとはまさにこのこと。
諦め、耐え、忍び、乗り越え、絶望と希望が湧いては消え……映像が浮かぶように物語が駆け抜けていき、息つく間もなく走りつづけるようにページをめくり、こんなにもハラハラするなんて。
Netflixで映像化も決まっているので、こちらも配信されたら絶対みる。
誰が誰の役をするのか。楽しみが二倍、三倍。
氷結(上)(下)|ベルナール・ミニエ
フランスのミステリ小説。
警部セルヴァスシリーズの第一作目。
冬の情景描写と事件が相まって、不穏さと残忍さに拍車がかかり寒さと恐ろしさでとにかく震えた。
シリーズものと分かっていても今後もえげつない事件が次々起こる予感とフラグ立ちまくりの人間関係どうなんの...?と頭を抱えてる。
フランスミステリってしんどい。
事件はあれもこれもバイオレンスで猟奇的で、全体的に灰色な雰囲気なのだ。読んでいても救いがあるのか…と思うようなことが度々起こるし、怪しい動きをする人間が多いし、秘密を抱えている人間も多すぎる。どうにか安心できる場所を探すけれど、それすらも怪しい。
でもこの救いようのなさや、ままならなさが人生そのものだったりする気がしてくる。それでも歯を食いしばって、ときには見ないふりをしながら生きていく登場人物たちに共感するのかもしれない。
フランスミステリってしんどい。
そのしんどさは自分に似ている部分があるからなのかも。
死者の雨(上)(下)|ベルナール・ミニエ
『氷結』につづく警部セルヴァスシリーズの第二作目。
今回も事件の内容が容赦ない。きつすぎる。
登場人物の心境や情景描写の文章にグッとくるものばかりでとても好き。全体的にずっと仄暗い感じなのに映画を観ているようで一気に読んでしまう。
「しんど(くて)おもろい」
シリーズ通して出てくるのであろう“アイツ”の動きにビクビクしてる。