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母の手作りクッキーハウス。
クッキーって味も好きだけど、見た目も好き。アイシングでデコレーションしたやつとか、noteで見かけるクッキー缶(可愛いクッキーをたくさん詰めたやつ)とか、いくらでも眺めていられる。
子供の頃から、絵本に出てくるお菓子の挿絵や、料理本に出てるデコレーションケーキの写真とか、ひたすら見てた。食べなくても、見てるだけで幸せな豊かな気持ちになれるのだ。
そんな私の夢を象徴したものが、お菓子のお家だと思う。
ヘンゼルとグレーテルに出てくるお菓子でできたお家。柱がキャンディーだったり、ドアが砂糖菓子をまぶしたクッキーだったり、ウェハースの壁、チョコレートで出来た屋根とか、もう、想像するだけでワクワクがとまらなくなる。
私が小学生の頃、母はよくケーキだのクッキーだのを作ってくれた。贅沢な材料は使ってなかったと思うが、卵の味のしっかりした、固めのスポンジケーキは美味しかった。当時の私の誕生日会に来たことのある友人は今でも、「四角いショートケーキ」を覚えてくれている。オーブン用の鉄板をそのままケーキ形にして、それを数枚重ねて作るバースデーケーキは、牛乳寒天の入ったフルーツポンチと共に、母の定番だった。招待する友人の人数は多くて10名位(当時はそれが一般的だった)だったが、一度だけ、クラスの女の子には全員声をかけなさい、という母の方針(女子だけというのがいかにも昔)に従い、狭い我が家へ20名近くのクラスメイト集まってくれた。母は全員分のケーキやらお菓子を用意してくれた。
あの狭いマンションの狭い台所で、母はホントによくやってくれたのだな、と、思う。本人が好きじゃなきゃやらなかっただろうが、とは言えその途方も無い手間を考えれば、こういう想い出を作ってくれた事には感謝しかない。
その頃、母がクリスマスにクッキーハウスに挑戦した事がある。なんかの雑誌だか本で見たのだろう。ジンジャーの入った硬いブラウンクッキーの板を沢山焼いて、飴を糊がわりにして組み立てるのだ。アイシングで屋根瓦の模様を描き、マーブルチョコレートで飾る。
確か、1回目は飴が柔らかすぎて固まらなく失敗したのだが、翌年は成功した記憶がある。1ヶ月位飾った後食べてみたら、全然美味しくなかったが、飴の部分のほろ苦い甘さをなんとなく今でも覚えている。
そして、時は経ち、母の努力虚しく、私はお菓子も料理も、食べる専門の大人になった。
今から7,8年前、私が会社を辞め独立して、今よりも仕事が暇だった頃の事だ。12月に母と一緒にデパートの地下街を歩いていてたまたま通りかかったパン屋に、クッキーハウスがあった。「わー、可愛い!」と2人で見入りながらすぐに話題に登ったのが、母が昔作ったクッキーハウス。母は「よくやったわよねぇ」と言いながら、私が詳細について色々語ると、「よく覚えてるわね」と、嬉しそうにしていた。
その話を家に帰って夫に話した時、私が余程楽しそうに見えたらしく、夫がサプライズでクッキーハウスキットをネット注文してくれた。(夫のこういうところが好き)
母に連絡してキットを持って行ったら、母驚喜!! 2人であっという間に創り上げた。
以下当時の写真です。クッキー部分も全て出来上がってセットされているのですよ。
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キットが優秀なせいで、それかりに仕上がって私も母も満足。久しぶりにクリスマスらしい気分を母に味わってもらえた事も嬉しい。
ちなみに、その年、自宅近くのメトロポリタンホテルにも、本格的なクッキーハウスが出現。
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うーん、さすがプロの仕業。可愛いだけじゃなく美味しそう。これはまさに子供の夢!
って、昔話をつらつら書きましたが、なぜ、急にこんな事を思い出したかって?
クッキーハウスが家にやってきたのです。それも昨日。
長い前振りにお付き合い頂きすみません。
突然、母から電話があり、今から持って行きたいものがあると。
そいつがこちら。
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屋根のチョコをボンドで貼っつけた。意外とむずいぞ。
いやぁ、母は来年79になるのですが、我が母ならすごい。「今はネットで色々調べられるから楽でいいわね」との事。
私が今年、母の近所に引っ越ししたものの、別にそんなに行き来してない(こっちはそれなりに忙しい)のだが、母のなんとなくクリスマスを私と共有したかった気持ちが伝わってきて、来年はもう少し顔だそうかな、と思ったり、母が子供の頃の私にしてくれた事や、現在の母のエネルギーを、私もちゃんと受け取って何かに繋げていきたいかな、などと珍しく思ったりする、40代最後のクリスマスである。
メリークリスマス!
とりのこ
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