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📗後味がじんわり悪い本を読みたいときはこれ〜|微笑む人

一人の人物を、多くの人の視点でさまざまな角度から語るような話が好き。
昨年末に読んだ、有吉佐和子の「悪女について」も似たような形式だった。

このような形式は珍しくない気もする。きっと好きな人が多いのだろう。


理解できない犯罪が、一番怖い

エリート銀行員の仁藤俊実が、「本が増えて家が手狭になった」という理由で妻子を殺害。
小説家の「私」は事件をノンフィクションにまとめるべく、周辺の人々への取材を始めた。「いい人」と評される仁藤だが、過去に遡るとその周辺で、
不審な死を遂げている人物が他にもいることが判明し……。
理解不能の事件の闇に挑んだ小説家が見た真実とは!? 戦慄のラストに驚愕必至!

Amazonより


こういう話の何が好きかというと、「どっちが本心なの?」と思うことや、「あれはそういう意味だったのか」と軽くゾクっとする伏線回収のような気持ちになることだ。


ただ、この本の面白さはそういう部分ではなかったように思う。

狂気的な理由で罪を犯した仁藤という男について、周囲の人に聞き込みをしていくような内容だった。仁藤は誰からも信頼されるような、誰に聞いても「いい人」と称される人物だったが、時折不穏な証言なども出てくる。

仁藤を語る人たちの思い込みや決めつけ、自分に都合よく理解しやすい形に真実らしきものを形成する様子、さまざまな心理状態がすべて「わかるな……」と感じてしまった。


自分の嫌な部分、他者に感じている不満など、薄暗い心の内をしっかりと目にさせられるような感覚だった。

まさに後味の悪い本とはこのこと(めっちゃ面白かった👐)

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