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閉鎖的空間の恐怖


私が住むところは「都会」とはいえない場所

ほどよく「田舎」の雰囲気を残しつつ
生活するには困らないくらいの発展を遂げた街


子供の頃からあまり電車に乗る機会はなかった
年に数回のその機会は
子供の私にとっては楽しい時間となるもので
乗るたびにわくわくしていたような記憶がある

楽しい時間と思えなくなる「その時」は
ゆっくりと私に近づいてきていたのか
私はそれに気づくことなく思春期を迎えた

初めての友達同士だけでの東京

興奮で止まらないおしゃべりの中
電車が都内に近づくにつれ
私の口数は減っていった


胸が苦しい
胸のあたりがザワザワする
なんとなく気持ち悪い
頭が痛い…


それでもせっかくの時間を私の体調なんかで台無しにしたくなかったので
その状態を隠して、何事もないよう振る舞った

『きっと乗り物に酔ってしまったんだ』

と思うようにして


事実、私は乗り物酔いをよくした

遠出する車では気持ち悪くなって度々車を停めてもらったり
バスなんかも近距離ではならないものの
バス旅行とかで移動が長くなると
気持ち悪さとの戦いだった


その一件から私は電車に乗ると「乗り物酔い」のような状態になることが増えた
振り返ると、その一件が初めてではなかったかのようにも思える


あぁ、そうだ


小学生のときに乗ったときも
家からだいぶ離れビルが多くなってくると頭痛がしてきて、母に辛さを訴えたことがあった

それは頭痛だったり吐き気だったり

『帰りたい』
と言ったこともあった
もちろんそんなことですぐ帰れることはなく
途中下車して飲み物を飲んでみたり
なにか食べてみたり
そういうことが起こるたび、それを誤魔化す対処をしてもらっていた

そんなようなことが幾度となくあったのだ

なのに私はそれに違和感を感じられなかった
すべてのことを繋げて考えられなかったんだ

さらに記憶を掘り起こしてみると私は

「乗り物酔い」と思ってきていたその症状になるときに
共通点があることに気づいた


長い時間乗っているとなることが多いのだ


そしてそれは車や電車だけではなかった
エレベーターや狭い部屋にいるときだったり
高いビルに囲まれた場所にいるときだったり

「乗り物」という場所のことだけではなく
そのとき置かれている私の「状況」に問題があった


すぐに自分の意思で降りたり出たりができない状況
『出られない』
『出てはいけない』
その思いが私の中のスイッチとなる

私の周りを何かで囲まれている状況
『出られない』
という意識にプラスされ
閉じ込められているような感覚もそのスイッチのひとつとなった


そういうスイッチがいくつもあって
行く先々で私の意思に関係なく
「状況」がスイッチを入れていく

そうなるともう私にはどうすることも出来ないのだ


息苦しさからの動悸
目眩や頭痛からの吐き気
そこから逃れたくなって手足は落ち着かなくなり
さらには自ら意識を手放したくなるのか
人の声や物音が遠のいていく


理性が私を留めるが
私の脳内では電車の扉を叩き
『降ろして!帰る!』
と何度も叫んでいる


閉鎖的空間────



それは私にとって恐怖を感じる場所




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写真お借りしました♡︎
ありがとうございます(ㅅ´ ˘ `)☆*。


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