【PRM海外調査】世界におけるPRMツールの普及率。各国のツール事例。
世界では、各大手企業が代理店連携のためにPRMツールを導入するのが主流ですが、日本にはまだ流通していないため、各国のPRMツール導入状況についてご存知の方は少ないのではないでしょうか。
今回の記事では、世界各国のPRMツールの普及率や市場規模、提供企業などをご紹介します。
1. PRMツールで出来ること
PRMとは「Partner Relationship Management」の略で、ベンダーとパートナーの関係を最大化するためのビジネス戦略手法です。
このPRMを効率よく行うために使われるのが、PRMツールです。ツールを導入することによってベンダー・パートナー間の情報共有がしやすく、必要なコミュニケーションのみに時間を割く事が可能になります。
Salesforce Cloudなど、CRM(Customer Relationship Management)ツールは日本でも導入されている企業が増加してきていますが、PRMツールはまだまだ浸透していない印象があるため、どんな機能があるのかイメージが湧きにくい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この章ではPRMツールの代表的な機能を3つ紹介します。
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1. パートナーのデーターベース構築
パートナーの実績を管理することによって、ポテンシャルを可視化することが出来るようになります。サイト上にすべてのパートナー情報を集めて管理し、必要なときに分析できる機能は非常に便利ですね。
2. 資料や商品情報の一括配信
クラウド上で新たな情報を配信することによってパートナー側は漏れなく情報収集また配信した情報に対する反応やログで、パートナーのエンゲージメントを把握することも可能になるでしょう。
3.案件進捗・報酬の一元管理
定期期にパートナーに確認を行う必要がなく、常時互いに情報をアップデート出来るようになるため連携がより円滑になることも期待できます。互いに都合の良いタイミングで確認できるのは非常に効率的です。
企業や国の文化、ターゲットとする業種により様々ですが、以上が基本的な機能です。
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PRMツールを用いることによって、パートナーのことを深く知ることができる、1つのクラウドに多数のパートナー情報を集めることができる、最適な支援を販売パートナーに提供することできる、などの効果を得ることが期待できるでしょう。
ベンダーが、適切な時期にパートナーに対して適切な支援を行うことによって、モチベーション維持や営業支援することが出来るようになり、アクティブなパートナーが増えるかもしれません。
2. PRMツールの地域別の普及状況
ここでは、世界の地域別PRMツールのマーケットシェアや導入企業の特徴を紹介していきます。
●北アメリカ
2019年頃より北アメリカが先立ってPRMツールを用いるようになりました。この地域でのPRMツールにおけるCAGRは2020年から2027年の間で14.1%として予想されており、現時点での北アメリカのPRMツール市場規模は約35億ドルです。また2027年には約79億にのぼると予想されているようです。
北アメリカでのPRMツールの大部分は、製薬およびヘルスケア業界が占めています。カナダでは、アメリカと日本との貿易等のビジネスによってPRM市場は数年以内に急激に成長するという予想もされているようです。
CAGR:
CAGR(年平均成長率)とは、「Compound Average Growth Rate」の略で、複数年にわたる成長率から、1年あたりの幾何平均を求めたものを表したものです。
●ヨーロッパ
ヨーロッパではこの数年、PRMツールのマーケットシェアは世界で2番目とされており、現時点で市場規模は約31億ドルです。主にドイツ・イギリス・フランスらの地域がPRMツールの導入割合として、ヨーロッパ内で多くの割合を占めているようです。
ヨーロッパ政府は新型コロナウイルスの影響により、製薬およびヘルスケア業界拡大のための支援を計画しており、薬剤普及のためにPRMツールを用いて管理しようと試みているようです。そのようなこともあり、ヨーロッパではここ数年でPRMツールの市場規模拡大が期待されています。
●西太平洋とその周辺の地域(東アジア、南アジア、東南アジア、オセアニア含む)
これらの地域では、世界で最も成長率の高いCAGR約16%が見込まれいます。現時点での市場規模は約28億ドルですが、中小企業でのサプライチェーン効率化のために導入している企業が増えてきているようです。中国、インド、ASEANなどの新興経済国では、ここ数年で急成長が見られると予想されているため、近い未来、西太平洋とその周辺の地域では小売販売業界や通信業界でのPRMツール普及が見込まれています。
グローバル化が進んでいくことによって供給者が増え、PRMツールのような小売業者間の付加価値サービスが利用されるようになるでしょう。
●ラテンアメリカと中東
ブラジル・アルゼンチン・サウジアラビア・アラブ首長国連邦・南アフリカを含むこれらの国や地域では、速いペースで小売販売業界の拡大が進んでいます。現時点での市場規模は約7億ドルほどですが、今後新興医療業界ではパンデミックの影響もあり、ここ数年でPRMツールの成長が上向きです。
また貿易が盛んになることによって、PRMツールは今後、製薬およびヘルスケア業界の大幅な成長に対応することが期待されているようです。
3. PRMツールの地域別提供企業例
第二章では、世界におけるPRMツールの市場規模や今後の予測を紹介してきました。多くの国と地域でPRMを導入し、今後の期待も高まっていることが分かっていただけたかと思います。
この章では地域ごとにPRMツールを提供している企業の例を紹介し、それぞれの特徴を解説していきます。
●北アメリカ
1. Salesforce(アメリカ)
SalesforceはSFA(営業支援ツール)として導入している企業も多いのではないでしょうか。Salesforceには、パートナービジネス担当者向けの機能も搭載されています。
AIが顧客のフェーズに合わせて適切な資料をパートナーに提供します。また、パートナーはどのデバイスからでも顧客にメールを送信できるようになるため、適切なタイミングで適切なメッセージを送ることが可能になります。
パートナーの需要に合わせて適切な資料を送ることはPX(パートナー・エクスペリエンス)の向上に繋がり、長期的に良好な関係を築く上でとても重要です。それをAIで実現できれば、効率的なパートナービジネスに繋がりますね。
詳細:https://www.salesforce.com/jp/products/community-cloud/partner-relationship-management/
2.PartnerStack(カナダ)
BtoBのSaaS企業に特化したPRMツールを提供しています。パートナープログラムをPartnerStack上に宣伝すれば、登録している何千ものパートナーにリーチできることが強みです。また、パートナーごとにカスタマイズしたオンボーディングを自動化できたり、稼働状況から自動的にランクアップしインセンティブを提供できる機能もあります。
パートナープログラムの立ち上げやランク設定など、工数がかかりがちで難しい部分を、データもとに自動化できれば、適切かつ効果的なパートナープログラムの実行に繋がりそうですね。
3. Allbound(アメリカ)
シンプルにパートナー管理が出来るインターフェースが特徴です。オンボーディングから、マーケティング、案件創出まであらゆるサービスが搭載されています。
パートナービジネスは、自社のみでなく様々な企業と連携する必要があります。ITリテラシーの高さはパートナーにより様々であるため、ツールを導入しづらい点が課題です。そのため、誰でも操作しやすいUI・UXは、PRMツール導入においてとても重要視すべき点になっていくかと思います。
詳細:https://www.allbound.com/
●ヨーロッパ
1. Kiflo(フランス)
中小企業向けのPRMツールです。パートナーのオンボーディングを自動化したり、ポータルの提供により顧客情報や販促資料の共有などが簡単になるため、業務効率化に繋がります。また、集約された情報によりパートナープログラムのROIを自動で計算する機能もあります。
パートナープログラムを設計しても、その後の運用は属人的になりやすくROIの測定はなかなか難しいため、ツールの導入により解決されればパートナービジネスでのさらなる売上増加が見込めますね。
2. Qollabi(ベルギー)
フレームワークをもとにパートナービジネスのOKRを作成することが可能です。また、立てた戦略をパートナーへ共有したり、共同で編集することができることが特徴です。
OKRのフレームワークが搭載されているため、担当者が変わっても適切な戦略立案が可能になり、イネーブルメントの実現が行いやすくなります。パートナービジネスは属人的になりやすいため、ツール導入によりパートナーサクセスの組織を教育することも1つの手ですね。
●西太平洋とその周辺の地域
1. Trackier(インド)
Webサイトのトラフィックデータ等から、ベンダーの顧客層に近いパートナーを見つけることができたり、競合他社で活躍しているパートナーを分析できます。
自社にマッチしたパートナーを開拓することは難しいため、ツールを活用して活躍できそうなパートナーを分析できれば、かなり効率的にパートナービジネスを行うことができそうですね。
詳細:https://trackier.com/
2. OneAffiniti(オーストラリア・フィリピン・アメリカ・イギリス)
マーケティング施策を一気通貫で管理できるツールです。パートナーの潜在〜顕在顧客の情報を管理でき、顧客に対して適切なマーケティング施策を実行することが可能になっています。
パートナーだけでなく、その先の顧客情報まで可視化できるため、パートナー任せでなく共に売上を伸ばす施策を実行できる点が強みです。
詳細:https://www.oneaffiniti.com/
3. 纷享销客(fxiaoke)(中国)
CRM、PRM、SCRMを統合して、企業にマーケティング管理、販売管理、サービス管理を提供します。CRMツールの提供を主な事業とし、追加機能としてPRMやSCRMも提供しているようです。
パートナーに対して一貫して顧客の動向を知らせることが可能になるため、ベンダーの業務効率化に繋がり、パートナーも販売活動を行いやすくなり双方に大きなメリットが見込めます。
詳細:https://www.fxiaoke.com/crm/about-2/
SCRM:
SCRMとは(Social Customer Relationship Management)の略で、「ソーシャルメディアを用いた顧客管理で、エンゲージメント構築を促進する活動」を意味します。
4. Oracle NetSuite(中国)
パートナー・ベンダー双方がリード顧客情報を追跡でき、獲得コストとコンバージョン率を測定することができます。よって、共同でマーケティング戦略を立案することが可能になります。
パートナーに顧客獲得〜カスタマーサクセスまで一気通貫まで自走して行ってもらうことが、パートナービジネスで非連続に売上を伸ばすコツです。パートナーに顧客情報を可視化して、戦略を立ててもらえるようになれば、自走できるパートナーを育成しやすくなりますね。
詳細:https://www.netsuite.cn/products/crm/partner-relationship-management.shtml
4. さいごに
今回は世界におけるPRMツールの普及率や傾向を調査して比べてみました。北アメリカを始めとし、今後も各地域でツールの提供・導入が盛んになっていくことが期待されているようです。
日本ではまだまだ導入例の少ないPRMツールですが、今後SaaS業界や代理店ビジネスが発展してくるとともに、導入企業も増えてくるかもしれませんね。
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