心がぶるぶるする感覚、知ってる?
夢はこちらから向かっていくものなのか、
向こうからやってきてくれるものなのか、
はたまた、こちらから向かってるつもりはなくても何か形にしてしまえば、夢を叶えたということになるのだろうか。
準備ができていないのに、ある日から人は小さい船だけ渡されて、大きくて広い大海原へ放り出される。
私は23歳で美容サロンをオープンさせた。
でもそれは長年の夢だったわけでも、絶対にやり遂げたかったビジネスでもない。
とはいえ、月日が流れると周りからはそれなりに評価される。そして勝手にストーリーを加えられて夢を叶えたんだね。と言われる。
嬉しいと思うか?
・・・正直嬉しくはない。
ただひたすらに頑張った5年だったか?と問われれば人生で2度目に頑張った5年間だった。と答えると思う。
私がサロンをオープンさせたのは親孝行がしたかったから。実にシンプルな理由だ。(これも今だからこそ思うことだが当時はここまで明確な理由があったかは自信がない。)
美容学校に行かせてくれた両親に。
夢に向かわせてくれた両親に。
最初は「美容業なんてきついし給料は安いし帰りも遅い。好きじゃないと続かない職業だよ。」と言われ続け、私は「医者は病気が好きだから医者になるわけじゃないよね?」なんて口だけ達者な生意気な子供だった。
それでもなんとか説得して美容学校に通って美容師免許を取るのにも苦戦。2年くらいかけて計4回に試験を受けた。美容師試験に受からない2年間は本当に地獄でもうやめてしまいたいと思っていた。両親からは絶対に免許だけは取った方がいいと言われ、泣きながら勉強した日もあった。
怠け癖がある私は、別に仕事なんてたくさんあるし、美容業だけじゃない。いろんな仕事をやってみたい。と、その頃には美容学校に通えたことに満足して美容業には興味を失ってた。すごくワガママな娘・・・。
でも国家試験に受かった日
今までに経験したことがないような感動が待っていた。
心がぶるぶるってする感覚。
何かに向かって頑張ってる人たちはただひたすらに頑張ってるだけじゃない。
結果がついてきたときの、この“心のぶるぶる”がたまらなく気持ちいんだってそのとき初めて気がついた。
2年間挫折の日々だった事もあり、すんなりと目標に手が届いたときよりもこれ以上無理!っていうほどに目標に向かってそれを手に入れた人にしか分からない心のぶるぶるがあるんだなって。
ここから私はこの心のぶるぶるに侵されていく。
そして突然、美容サロンをオープンする。
美容師免許を取らせてくれた両親のために。
もうお気づきでしょうが、まだまだ技術も未熟でサロンをオープンさせる器もセンスもマーケティング力も何もないただの少女同然の私。無力。
目標に掲げた期間は5年間。
そこから1年目はお客様に助けられながらサロンを形にし、2年目は更に顧客を増やす為に技術力をあげる…張り切る。張り切る。有料講習会に行ったり、学べるものは学ぼうと本もたくさん読んだ。3年目はスタッフを増やしてサロンを拡大。4年目はお客様に真剣に向き合い経営にも慣れてきた。そして5年目を迎えようとするとき、両親は自慢の娘だと言ってくれた。キタ、また心のぶるぶる。
達成を知らせるサイン。
そして5年間やってきたサロンをクローズする事にした。
美容業は好きだ。お客様に喜んでもらえる。直接お礼を言ってもらえる。来店したときよりもはるかに可愛くなってお帰りになるお客様。魔法使いにでもなった気分。
だが、あくまで目標は親孝行だったのだ。
こんな私を未来の私はすごく幼稚な行動だと思うかもしれない。勿体無いと怒られるかもしれない。もう少し続けてみたら良かったのにと…
サロンを続ける事でこれ以上の心のぶるぶるはもう経験出来ないと思った。
もう目指すべき目標がないからだ。
私の人生の第1章はここで終了。
次は第2章が待っている。
これから何に時間をかけ、何に勇気を与えられ、どういう風に前へ進むのか。
そして一番は、どこに向かって進むのか。
実はまだ第2章を決めていない。
だが次の目標は漠然と決まっている。
人と心のぶるぶるを共有してみたいのだ。
人生は第1章だけではない
その後、第2章、第3章が待っている。
流れで始めた事から大きなビジョンに向かう事もあるし、意気込んで始めた事を1ヵ月後やめてしまう事もある。
ただ人生の舵取りは自分でしか出来ない。船長は自分自身。
最初に与えられた小さい船を大きくするのもよし、綺麗に磨きあげるのもよし。
これからまたどんな航海が待っているのか。
また、心のぶるぶるを経験できる日を求めて。
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