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傷ついた旅人たち

巷には
悲しい歌があふれている。
みな、抱えた傷のぶんだけ
遠く遠く 時間のかかる旅路につく。

やさしさにさえ
傷つく悲しみと怒り。
壊れていないのに 直そうとする善意が
ナイフのように胸を突き刺す。
外のノイズに取り憑かれ
発狂する涙に嗚咽を漏らす。
触れているのに届かない。
声をあげたいのに 
喉の奥に小骨が詰まる。
痛みのぶんだけ、言葉が失われ
助けてと
声にならない叫びと祈りが跋扈する。

巷には
悲しい歌があふれている。
旅人たちは、悲しい歌に身をゆだね
幾万の夜をやり過ごす。
いつか、旅路のすえに、
優しい歌を歌えるその日がくるまで。


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