別れの言葉
ある瞬間に
抱えていたいくつもの疑問が
1つの確信に変わる
そういうことってあるだろう
それはとても明瞭なことで
心にかぶっていた靄は瞬時に消えてしまう
それと同時に私はそこにいる理由を失った
あなたは冷たいという
そうだね。
きっと、私は冷たい人間なのだろう
私はためらいもなく立ち去った
たしかに気がかりなこともあったけれど
どうしようもないではないか
泣きすがる君に
真実を伝えてあげるほどの優しさもない
笑顔はどこかの時点までは本物だった
仮面をかぶったままでも横にいて欲しいというのかい
そんな虚構まみれの歪んだ空間は
きっとそれぞれの時間を止めてしまうだけだよ
君も本当は気づいているだろう
耳を澄まさなくてもよくわかる
もうあの頃のように胸が高鳴ることはない
さあ、私はここから立ち去るよ
君の時計もきっとそこからどこかのタイミングで動き出すだろう
その目を見開いて、見ようとしなかったものを目にしよう
目に映るのは、きっと私と君とではまったく違う世界だろう
だけど、いま感じるこの痛みはたしかに私たちのもの
お先に失礼するよ
かつては輝いていたかもしれない世界
懐かしいね
それを手放すのはきっと寂しくて悲しいね
だけどこの涙はそれ以外のなにものでもないよ
だってそれよりも私は別の世界をみてみたいんだ
さようなら
この場面にこれ以上にそぐう完璧な言葉はないね
さようなら
それからどうかお元気で
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