
Photo by
take_kuroki
世界で最も嫌いなモノ
思い出はいつも悲しい
優しさと美しさを
まとったそれは
私に現実を突きつける
寂しいとも違う
間違っているわけでもない
でも正しいわけでもない
出口のない部屋の中で
何度も同じ夢を繰り返す
あぁ 彼は 私を撫でた
私を見つめた
私を飲み込んだ
私を包んだ
私を溶かした
私は わたしを 許した
そうね
私は誰のことも好きじゃないのね
欠陥だらけのラブストーリー
弾けては 飛んで
泡となる
誰かを愛してるフリをしていたんだ
猫が爪をたてた
誰にも触れられたくない
太陽も大地も雨も風も
誰かの代わりじゃない
ただそれらはそれらのまま
私と繋がっていた
中指を立てたかったのは私だ
だけど世界を憎むほど
子どもにもなりきれず
そっと扉を閉めて
私はわたしを抱きしめた
いらなくなったおもちゃを
たくさん詰め込まれて
土足で踏み荒らされる
そんな
モノ言わぬ箱でいるのは
もうたくさんなんだ
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個人的な葛藤というのは、往々にして社会的な構造の問題であったりする、と思うのだ。