見出し画像

世界で最も嫌いなモノ

思い出はいつも悲しい

優しさと美しさを
まとったそれは
私に現実を突きつける

寂しいとも違う

間違っているわけでもない

でも正しいわけでもない

出口のない部屋の中で

何度も同じ夢を繰り返す

あぁ 彼は 私を撫でた
      私を見つめた
      私を飲み込んだ
      私を包んだ
      私を溶かした
私は わたしを 許した

そうね
私は誰のことも好きじゃないのね
欠陥だらけのラブストーリー
弾けては 飛んで
泡となる

誰かを愛してるフリをしていたんだ

猫が爪をたてた
誰にも触れられたくない
太陽も大地も雨も風も
誰かの代わりじゃない
ただそれらはそれらのまま
私と繋がっていた

中指を立てたかったのは私だ

だけど世界を憎むほど
子どもにもなりきれず
そっと扉を閉めて
私はわたしを抱きしめた

いらなくなったおもちゃを
たくさん詰め込まれて
土足で踏み荒らされる

そんな
モノ言わぬ箱でいるのは
もうたくさんなんだ


************************
個人的な葛藤というのは、往々にして社会的な構造の問題であったりする、と思うのだ。



いいなと思ったら応援しよう!