死ぬことすら出来ない辛さ 38 〜訪問管理栄養指導1回目
何度誘われても暑いから外には絶対に出ません!
涼しくなって、今よりも体力がついてからなら出ても良いわ。
世間は夏休み。
夏休みで昔聞いた川柳をアレンジして詠んでみるわ。
夏休み
蝉よりうるさい
私です
きちんとやってくれるならうるさくないはずですが、何か?
さて、本日から訪問管理栄養指導が始まった。
管理栄養士指導の下で効果的にカロリーを摂取し、食べられる物を増やしていくと共に体重と体力も増やしていくのが目的。
パンが好きなので、久しぶりにパンが食べたい。
パン粥なら食べられるのではと提案してもらったので、パン粥を試したい。どうやって作るの?
パンをちぎって牛乳で煮詰めてドロドロにします。お好みで砂糖を入れて甘さを出したりします。
なるほどね。
ヘルパーさんよろしく。
夫に頼んで食パンを買っておいてもらったから冷蔵庫にあるはず。
コンロで牛乳を温めて砂糖を入れる。
細かく千切ったパンを投入し、塊がなくなるまでパンを砕いていく。
塊がなくなり、冷めたら出来上がり。
今回は栄養指導の時間が決まっているから、食べる分をコップに取って氷水で冷やす。
いつも食べている物にはトロミを付けているけど、すでにドロドロだからそのままでも大丈夫かも知れないわ。
パン粥を作って冷ましている間に食事の姿勢にしてもらう。
管理栄養士さんは普段食べている物は何か。
飲み込みの様子はどうかなどを質問してきた。
もちろん包み隠さず答えつつ、ヘルパーさん達が実物を見せて補足してくれる。
百聞は一見にしかずだから見せた方が早いのよね。
質問の後は喉に聴診器を当てて飲み込みの音を聴き始めた。
唾液を飲んだ時の音を聴く。
入院していた時に言語聴覚士も同じことをやっていたけど、やっぱり飲み込む時の音は聴くのね。
聴いて「 大丈夫 」と言うけれど、ダメだったら肺炎になっているでしょうから大丈夫だと分かるわ。
パン粥を食べる前に普段食べている栄養剤+豆乳を食べている所を見せてあげる。
トロミの具合も良く見なさい。
私の特別な食べ方も見ておきなさい。
頭を下げると気道が狭くなるので誤嚥しにくくなるので良いと思います。
管理栄養士にもお墨付きをもらえた。
自分が考えた訳ではないが、間違ったことをしていないと思うと嬉しくなる。
さて、お待ちかねのパン粥はどうかしら。
食べる前に香りを楽しませて。
パンの匂いがする。
久しぶりにパンを食べられるこのワクワク感。
同じドロドロではあるけれど、違う物が食べられることも嬉しいわ。
じゃあ、さっそく頂きましょう。
小さなスプーンで一口。
うん。パンの感じがする。
今、パンを食べる。
あぁ、これから色々と食べられなかった物が食べられるようになっていくのか。
ドロドロではあるけれど、しっかり噛んでから喉の奥に誘導していく。
あれ?
あれ?
ちょっと待って
ちょっと待って
ちょっと待って
喉の前で呼吸を整えてから飲み込みたいのに、勝手に喉の奥に入ってしまう。
なんで?
なんで?
これじゃダメよ。
いつも通りに飲み込めないとダメ。
自分のペースで飲み込めないと変な所に入っておかしくなる。
ダメよ。
ダメよ。
勝手に入ってく。
なんで?
普段と違う感じにパニック状態。
咽たり( むせたり )している訳ではないけど、勝手に喉に入ってしまう物はもう食べられない。
食べたくない。
パンの脂が原因だと思うけど。
パンが食べたいと言ったけど、おかしな感じも味わいながら食べるのは嫌だ。
もうパン粥はいらない。
今日のお昼はもう要らない。
みんなが大丈夫と言うけど信用ならないし、聞く耳は持っていません。
管理栄養士さんさようなら。
次はいつにするかはまた連絡するからもう帰ってちょうだい。
看護師さんは口腔ケアの後に吸引よろしく。