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原作もアニメも火星の戦士そのもの。
平成初期、少女だったわたしの中の「レイちゃん」と言えばこれ。
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平成放送のアニメでは、うさぎとの喧嘩シーンが印象的でした。
ところが、作品ファンであれば常識ですが、じつは原作漫画ではレイちゃんは全くの別人なんです。
◼︎ 平成アニメ版の「火野レイ」
まず、アニメ版レイちゃんについて少し振り返ります。平成のアニメ版レイちゃんはこんな感じ。
勝気で自信過剰、陽気で喧嘩っ早い、そして自分の気持ちに正直な女の子でした。まさに牡羊座のようなイメージです。
こんな感じの笑いを誘うシーンが多いのに、時に真面目にうさぎの良き理解者にもなる魅力的なキャラクターでした。
◼︎ 原作の「火野レイ」
打って変わり、原作漫画版のレイちゃんはアニメ版とはハッキリ別人です。
アニメ版とは言葉遣いが全く違うし、
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異性だからといってすぐ飛びつかない。
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まさにクールビューティーキャラで、原作本編うさぎ曰く「怒るとコワイおジョーサマ 美人巫女さんのレイちゃん」。
一貫して大人っぽい女の子でした。
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なお、彼女の本質を知るためにはこちらのお話も欠かせません。レイちゃんにスポットライトを当てた特別編です。
この特別編は、レイちゃんの性格や家族事情、最初で最後の恋など、過去について詳しく描かれてる作品です。綺麗な絵はもちろんのこと、ストーリーやセリフにも感動します。
恋愛模様の捉え方によっては賛否が分かれそうですが、それをも含め何かしら考えさせられる作品になっているように思います。
ただ、私はレイちゃんというキャラクターの見え方が変わりました。
かつてセーラームーンが好きだった全ての人に、大人になった今こそ是非読んでほしい名作です。
◼︎ 設定の考察
これはあくまでも考察ですが、原作は蠍座要素が強いレイちゃん、アニメ版は牡羊座要素が強いレイちゃんとして考えると双方に繋がりがあるように見えます。
レイちゃんは「火星を守護にもつ戦いの戦士」、蠍座と牡羊座はどちらも火星が支配星です。
(ちなみに、キャラ設定的には4月17日生まれの牡羊座です。)
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このシーンに蠍座の要素を感じます。蠍座は「変容を伴う情緒的な繋がり」や「徹底的に関わる」などの究極さの意味を持ちます。まさに白黒思考なレイちゃんです。
・もうひとつの支配星
余談ですが、蠍座の支配星はもうひとつあります。冥王星です。
セーラームーンの話で蠍座や冥王星を語るのであれば、忘れてはいけない存在。冥王星を守護にもつ「セーラープルート」。彼女の特性からも蠍座の気質をみることができます。
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彼女の恋愛観もまさに蠍座でした。だれにも言わず、自分の心の中の奥深い部分で孤独に育んでいた恋心。(原作では、各キャラの恋の複雑さがまた深くて面白いポイント。)
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死の間際、やっとその純粋な恋心が顔を見せたシーン。まるで、蠍座をしっかり歩んだからこその、その先にあった射手座のような恋の結末を感じました。地下水路から空高く飛び立ったようなプルートの恋。まさに、時空の扉から飛び立ったのです。
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(作者の武内直子先生がお気に入りのキャラクターとしてプルートをあげていたのも理解できる。)
◼︎「劇場版 美少女戦士セーラームーンR」との繋がり
最後に、原作とアニメそれぞれのレイちゃんを繋ぐワンシーンについて触れようと思います。
セーラームーンファンの中でも人気のある名作「劇場版 美少女戦士セーラームーンR」。
この映画のワンシーンには、特別編のレイちゃんの過去を連想させるようなカットがあります。
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アニメ本編ではほぼ描かれていなかった、レイちゃんの寂しかった過去の回想シーン。
実は彼女は、アニメからは想像できないほど悲しい家庭環境で育ちました。
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劇場版の悲しげな回想シーンは、ある意味で想像の余地を視聴者に与えるシーンだったように感じます。
アニメ版の中にこの原作の家庭環境のレイちゃんに近い表情のカットを入れることにより、原作とアニメの架け橋になっていたような印象を受けました。
「あくまでもレイちゃんの過去の設定は同じ」なのかもといった、期待を込めた想像もできます。
このように見てみると、賛否あったレイちゃんにもほんの少し納得いく気がしています。
原作は蠍座要素の強いレイちゃん。
アニメ版は牡羊座要素の強いレイちゃん。
どちらも火星を守護に持つ戦士として、占星術のセオリー通りです。それぞれ違った角度からアプローチするレイちゃんを楽しむことができます。