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パリさんぽ! #30 〜 チャイニーズ・ペインティング・ストーリー
最近は雪予報が出るほど寒いパリなので、寒さ嫌いの姐さんはおさんぽできず、もっぱら今だに終わらないヴァカンス記事をコツコツ発表していた訳ですが、やはり本拠地パリの様子もお届けしたいじゃあ〜りませんか!
とか言いつつ、蘇るこの歌。
中国語圏では新年が近づくと、あちこちで耳にするこのフレーズ。
新年快楽。(シンニェンクアイラー)
恭喜發財。(コンシーファーチャイ)
だけど旧正月もさらっと過ぎて、それに伴う展覧会もそろそろ終わりそうなので、慌てて行ってまいりました。例によって娘ちゃん連れて。
少しはね、アジアの芸術も見てもらいたい!ってことで、東洋美術コレクションを誇るパリ市立のチェルヌスキ博物館へ。
グッドタイミングで、「20世紀中国絵画の歴史展」をやっていたので、またとない機会。
姐さんお得意の分野です。
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凱旋門からメトロ2番線で3つ目。
モンソー公園を突っ切り、東門を出るとその美術館はあります。
ちなみに公園西側には、日本大使館がありますよ。
斎白石 〈Qi Baishi〉(1864~1957)
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娘 パチリ📷
「きゃうん♥きゃわゆいん。」
姐さん (しめしめ。思っていた通り掴みはOK✌️)
「この人はね、ミケランジェロみたいな人よ。中国三大近代画家のひとり。動物描かせたら一番。カエルとかエビとかも上手なの。」
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娘 「この三枚目、葉っぱは下から描いてるんでしょ?」
姐さん「いやいや、上からでしょ。筆で描く時もやっぱり漢字書くときと同じで上から下、左から右が基本だね。」
娘 「だって下の方が色が濃いよ。ここから始めたんでしょ。」
姐さん「あ、そのキモチわかるけれど、下からだったらこの下の点はこういう形にならんのよね。」
娘 「えー、そーかな。(いまいち納得してない顔)」
姐さん「四枚目のカラスくんも羽は左から右へ描くはずよ。一筆描きの要領だからね。絵の具で塗るのとはちと違うの。」
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娘 「この黒いボテボテしたのは何?」
姐さん「葉っぱだよ。」
娘 「え。なんでちゃんと葉っぱの形に描かないの?」
姐さん「あ、コレね。没骨(もっこつ)法って描き方でわざと線で描かないの。筆の腹と先を使い分けるのよ。形はこんもり感がわかるでしょ。その方がボリューム感出せるし、筆さばきのテクニックが見せられるから。」
娘 「でもなんか下手っぴに見える。」
姐さん「 😅 」
陳之佛 〈Chen Zhifo〉 (1896~1962)
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娘 パチリ📷
「コレは大好き♥」
姐さん「🌸めちゃ日本人やん! なかなか見事な枝っぷり。でも木は没骨法だけど、花弁は工筆法で細い輪郭と淡い色付きなのね。この人は、日本に留学していた時期があったからね。」
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娘 「この葉っぱは上手♥」
姐さん「そうだね。こっちのお花の描き方も見て。どちらも工筆法。左のは中国の国花で芍薬というお花。ちなみにフランスの国花は白百合ね。」
娘 「え、じゃあ日本の国花は?」
姐さん「パスポートの表紙にあるじゃない。菊ですよん❁」
張大千 〈Chang DaiChien〉(1899~1983)
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姐さん「こりゃええ! よじれる! この先生は中国画界のピカソだからね。今だにサザビーズとかのオークションじゃあ、めちゃめちゃ高く売れるらしいよ。コレ、一番好きな睡蓮の花。てか描いてて一番面白いのがこの葉っぱ。この葉っぱのデカさに花はちびっと。コレは葉のほうがメインなのよ。コレをバサバサ描いてると水墨画やってて良かったー、って思っちゃう。」
娘 「なんで?」
姐さん「一番カラダ使って描けるからかな。ぶっとい筆で。キモチいいのよ。いやん♥」
娘 「 🙄 」
傅抱石 〈Fu Baoshi〉(1904~1965)
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姐さん「水墨画は水の分量調節で少なくとも5段階位の墨の濃さで濃淡使い分けるのね。一応手前は濃く、奥は薄くで距離感出してるけど、もうこの人の描き方は古典ではなくて、めちゃ新しい。お舟好きなのよね。いっぱい出てくる。
伝統的には四君子、花鳥、十二支、山水がメインなんだけどね。」
娘 「シクンシって何?」
姐さん「中国人結構四好き。ヨーロッパでは三が重要だから三大画家、とか言うけど、中国では大抵四大が重要。四つの花で四季も表すでしょ。春に蘭、夏に竹、秋に菊、冬に梅。これで基本の筆使いが全て学べるようになってんの。それが出来るようになると、色んなお花や鳥さんも描けるというワケ。」
娘 「キビシー😣」
姐さん「ちなみに中国でドラゴン描く時は、爪が四本の場合が多いけど、日本じゃ四=死で良くないんで、三本の場合が多いよ。中国の四本には一本足りておらん、ちゅうことらしい。逆に五本は特別で皇帝仕様ね。」
徐悲鴻 〈Xu Beihong〉(1894~1953)
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姐さん「お、この人もめちゃ有名。四本の指に入る。北京に記念館があるけど。フランスに留学もしてたのよ。この人はね、お馬さんばーっかり描いてたの。」
娘 「よっぽどスキだったのかな。」
姐さん「うん、描くだけならイイでしょ。賭けなきゃ。」
常玉 〈San Yu〉(1907~1966)
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娘 「なに、コレ!? こんなピロピロンで美術館入り!? あの足の指、いーの?」
姐さん「あー、この人って1920年頃のアール・デコの時代にモンパルナス辺りに固まってたアーティストでしょ。モンパルナス派って言ってね、モディリアニとか日本人のフジタなんかもそうだったよ。それにこの人、東洋のマチスって呼ばれてるし。」
娘 「えー、だったらアタシのだってココに掛けてもらえそう。」
姐さん「おぅ。そうなっておくんなまし😁」
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上からフジタ、左がモディリアニ、右がマチス
趙無極 〈Zao Wouki〉(1920~2013)
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娘 「あかん、こーゆーのよーわからん。」
姐さん「あぁ、抽象画っぽいのね。これぞアジアのミニマリストよ。ポルトガルの一寸たりともデコレーションしないではいられない過剰装飾とは対を成す。ポルトガルの教会とか行くと、溺れそうな感覚に襲われるけど。これはでもわかりやすいんじゃない? 朝か夕方かはわかんないけど、お日様が水辺に浮かんでいて、手前に木や草。いいんじゃない、イマジネーションの世界で。自由に感じれば。Feel it. ってやつ。」
吳冠中 〈Wu Guanzhong〉 (1919~2010)
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姐さん「Feel! コレキレイ! 竹でしょ。水面に光が反射して色んな色のドットがあってキレイじゃない。」
娘 「...😑」
姐さん「この人は、パンダがお得意だったよね。昔、シンガポールにいた時、シンガポールアートミュージアムで、この人のパンダのメモ帳買ってあげたよ。」
娘 「知らんけど。」
姐さん「ま、そうやろね😅」
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物持ち良い姐さん。
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お屋根シリーズ。とてもきゃわゆいん。
李華生 〈Li Huasheng〉(1944~2018)
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姐さん「わ〜、コレ好き♥この手前の一本線の滲み具合、よじれる〜。それからこの石。お舟の位置も完璧! ひなびた感じがまたええ。コレは本日の姐さんベスト1だわ。刻印の場所も形もヨイ〜♥」
娘 「ちとシンプル過ぎない?」
姐さん「余白の功だね。物言う白。描かないことに意義がある。」
李津 〈Li Jin〉(1958- )
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娘 「こっちは随分書き込んじゃってるね。」
姐さん「しかも二度書き。曼荼羅の如き。」
娘 「中国近代四大画家、げっちん💪しました!」
姐さん「・斎白石!
・張大千!
・傅抱石!
・徐悲鴻! 」
姐さん「で、今日はどうだった?」
娘 「ちかれたー。」
姐さん「...😔...」
〈特別展はここまで〉
この後、二階の常設展もちと覗く。
娘 「行ってもいいけど、見るのは上限三点まで!」
姐さん「えー、そんなぁ🥺」
娘 「だって、疲れちゃったもん。それに何度も来たことあるって言ってたやん。」
姐さん「一緒に来てたけど、まだ小さかったから覚えてないだけやん。パリに戻って来てすぐは、あのモンソー公園の西側にあるインターの学校行ってたからね。校庭ないからモンソー公園で遊んでたよね。週末もここでお子ちゃま用アトリエ行ってたんだよ。
シンガポールで初めての旧正月。ちょうどあれから一周り、12年経ってしまった!」
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姐さん「(作品はほぼ頭の中に入っているので)ではまず一点目。」
娘 「ウサギ🐰年だから、ってチョイスね。」
〜ここで隣で見ていたマダムに話しかけられる姐さん〜
マダム「今年はウサギ年?それともネコ年?」
姐さん&娘「🤭」
姐さん「アチキはジャポネーズなんでチャイニーズとはちと違うかもしれませんがね、ネコは寝過ごして、十二支に入れてもらえなかったって話ですよ。なんで、今年はウサギ年🐰」
マダム「んまぁ! それでいったい良い年なんでしょうか?」
姐さん「よろしんじゃござんせんか。ピョンピョン跳ねて何かを掴む、ってね。飛躍の年でしょう。」
マダム「な〜るほど。」
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娘 「ハイ、これ二点目。」
姐さん「目黒から来た大仏さん。」
娘 「へー、これ日本のなんだ。」
姐さん「蟠龍寺 (ばんりゅうじ)というお寺から連れてきたんだって。あー、これも見て見て!」
娘 「あ〜ん、ダメよ。ズルして色々見たら。」
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姐さん「あ、これって、かのゲンズブール氏の歌 で『キャベツ頭の野郎』ってのがあったけど、こ れってちとそれを思い出すね。『お花頭の少女』。」
娘 「ハイ、これで三点げっちん、終了ー!!」
姐さん「キ、キビシー! 本日はお付き合い、大変ありがとうございました♥カフェで一服のご褒美させていただきますっ。」
娘 「✌️😁」
凱旋門近くのカフェでひと休み。
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姐さんは久々のパリのカフェ、
美味しゅうございました。
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