(11)姐さんのひらりん、ちと帰国〜 木米と木のぬくもりや六本木
今回の冬の一時帰国、何が充実しているかって、やはりアート系展覧会。
今まで滞っていたモノが一気に堰を切ったように溢れ出る感じ。
もちろん姐さんお目当ては、ココでしか見られない日本画家。
先日の箱根で一村先生然り、そして前回水戸の速水御舟然り。
前回は「水」繋がりでしたが、今回は「木」繋がり。あはん♥
更には、生け花や焼き物だってココでしか見れないんです。
ついでに言わせていただければ、地酒だって。
あはん♥
普通の観光客の方がデズニーランドじゃ、スカイツリーじゃ、と言っている間に、やはり姐さんはニッポンのゲージツに浸りたい。
とは言え、毎回違うところで新しい発見をしたいのが人情。
今日は暫くご無沙汰だった六本木、東京ミッドタウンへGO。外からでなく地下鉄直結なんで、いまいち変化がよくわからないんですが、オーソドックスにJR山手線恵比寿駅から地下鉄日比谷線で六本木到着。
以前は、お仕事柄新橋より都営バスにて六本木へ納品がてらCD屋さん『六本木WAVE』にてネタ探し、と言う名のCD物色。輸入レコードの充実と品揃えは、その頃関係者の間でも定評が。当時湯水の様に使えた会社のお金で、よく知らないアーティストや珍しい外国の輸入盤を「試聴盤購入費」という名目で領収書を切ってごっそり漁りつつ、夜になれば地下のミニシアター『シネ・ヴィヴァン六本木』にてヌーヴェルヴァーグのゴダールやロメールの映画を楽しむ。
ここはハイブロウなシネアストに支持されるオサレなミニシアターで、ヨーロッパを始め、北欧、ロシア、ラテンアメリカ等のアートシネマを数多く上映。
タルコフスキー、ミハルコフ、カウリスマキにエリセ。ミニシアターの草分け的存在で、姐さんもここへ通っていなければ、パリを夢見て、おーシャンゼリゼに居ることもなかったんでない!? と思う程のラインアップ。
いつだって映画を観たあとはその国へ行った気になって、ピンクなアマンドで一服するか、またWAVEに上がってサントラ盤を買おうか物色していると、ちとどこかで見たことのあるお兄さんに、
「キミ、一緒にお茶でもどう?」
などとお声をかけられる若き日の姐さんであった。
しかし現在はそこも解体され、六本木ヒルズ辺りがででんとあるので見る影もなくちょっぴりおセンチ。まあ、それも「インターネット」などが現る以前の古き良き元気な時代のお話でござんす。
こんなにスゴいの誰が作ったんでしょう。
ちと気になった姐さん、調べてみました。
そしたら、くまさん🐻でしたよ。
隈研吾(くまけんご)さん。
横浜出身、お父上はお医者。
こちらその名も『和の大家』でござんす。
「和」をイメージした木材ベースのデザイン。非常に多作で皆さんご存知の作品も多々。
ほらほら、知ってますよね。
そして並べて見るとよくわかる木材ベースの『和の大家』っぷり。
自然の持っている曲線と、建築の描く曲線とが溶け合うデザインを理想としてらっしゃる。
更に、パリにも拠点を構え世界的に活躍中の日本人建築家。
その『和の大家』のライバルとも言えるもう一人の大家と言えば、こちらでござんす。
お得意『打ちっぱなしコンクリート』の安藤忠雄氏。
大阪旭区の長屋出身。
地域に根付き、関西方面のたくさんのプロジェクトに関わっていらっしゃる。
だけどおフランスとの関係も深く、大変評価は高い。なんせレジオンドヌール勲章頂いてますからね。
レジオンドヌール勲章は、「文化・科学・産業・商業・創作活動などの分野における民間人の、卓越した功績、を表彰することを目的としている。 国家功労勲章とともに、共和国大統領の決定のもと、フランス政府より授与される。」
日本人では、安藤忠雄氏をはじめ高田賢三、コシノジュンコ、小澤征爾、藤田嗣治、池田理代子、北野武、等の各氏が受賞。
こちらの作品もご存知かと思います。
『打ちっぱなし』ちゃってますよね。
元々安藤氏が世界にその名を轟かせたのが、こちらの『住吉の長屋』。
通風、採光、日照の確保に精通した、自らの長屋住まい出身を活かし、極ミニマリストで大胆なデザインの革新的個人住宅を着想。
まさにコレはタダの箱。
『打ちっぱなし』にも程があります。
そりゃあ、世界のみんながびっくりする訳じゃ。
最初は「使いにくい」、「雨の日、傘がないとトイレに行けない」等という問題もあったようですが、現在でも住みこなしている、また大変愛着を持っているそうですので、渋谷駅の使いにくさも、「これから」! が勝負どころ。
自然を愛しナチュラルなものとの融合を楽しむ横浜のお坊ちゃまと、20世紀を代表する手に入りやすい材料でオリジナルの世界を作る大阪の長屋の兄さん。
昭和歌謡に例えて言えば、オサレなハーモニーが忘れられないハマっ子オフコースと、庶民的なブラックユーモアがお似合いのあのねのね...では言い過ぎか、反骨精神剥き出しの大阪出身アリスのコンサートを同時に見せられているような、全く両極端な位置にいる二人の建築家。
どちらも、世界的に大注目な日本の宝なんでござんす。
さてさて、お話が大変脱線しておりますがこれもいつもの姐さんならでは。
今日は、なぜここへ来たかと申しますと、今まで聞いたことのなかったこの方に会うために。
京都出身、陶工にして画家の「木米」(もくべい)さん!
木米さん、1767年の生まれは京都、祇園のお茶屋。
キレイな芸妓のお姐さんやきゃわゆいん舞妓ちゃん達に囲まれて、大した苦労もなく趣味だけ楽しんでいらっしゃったんでしょうねぇ。
陶器を始め、絵画も出来る、数々の文人との交流など仕事らしき仕事もしてらっしゃらないのに忙しい。
30代の若いうちは、中国の陶書を翻訳しつつ、一応弟子入りはして作陶に没頭。染付とかろくろとか、お勉強。しかもこの時期茶器なんかも相当な数作ってます。
そのうち何点かが重要文化財級。あくまでも遊んでるだけで出来ちゃったらしいんですからスゴいんです。
それから50代後半になって、あくまでも「余技」として描いた絵画も魅力的。
こちらは多くが友人への贈り物として描かれた山水画ですが、これも重要文化財級。
1833年に亡くなるまでかなり多作。なかなかの腕前でござんす。
以前姐さんがインタビューした、英一蝶さんは1652年の生まれで1724年には亡くなっちゃってるんで被ってはいらっしゃいませんが、木米さんと同時期の有名人だと、1802年に『東海道中膝栗毛』を書いた十返舎一九、1814年に『南総里見八犬伝』を書いた曲亭馬琴、1831年に『富嶽三十六景』を発表した葛飾北斎なんかがいた、江戸の芸術華やかなりし頃。
今度は木米さんに突撃インタビューしなくちゃ、かな?
とにかく日本の美術館は館内の写真撮影厳禁なので、あしからず。
ただ一つ、木米さんの展覧会を見て、姐さんがnoteしておいた一言。
『小さくても良いので縦長の山水を描こう。』
展覧会を見終え、下にあるショップを覗くと、お箸屋さんが。
あ、コレはお土産にイイかも。
ん〜、いやっ近所の100円ショップにもあるからいっか〜!?
実はめっちゃ使いやすかったりするのかも知れないけどね〜。
ややっ、いかんいかん。
姐さん呑み屋で待ち合わせがあるんでしたっ。
今日はこれにて失礼!
どうやら上手く「木」繋がりで納まりましたよ〜で。
あはん♥