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めしやま(飯山えりか)
2024年4月16日 14:30
翔は18歳になった。成人か、想像したより味気ないなと少し息を吐き、スニーカーを履いた。母が後ろで「日空くんに会うなら、やえちゃんにこれ渡しといて」と言って、紙袋の音をゴソゴソと鳴らしている。日空は翔のおさななじみ、やえちゃんとは、日空の母である。二人の母は仲が良く、趣味が合うためよく一緒に出かけている。「なにこれ」「『あおスプ』の」「あ、いつものオタグッズか」「何よその言い方〜いい
2024年4月17日 20:20
翔と日空は、近所のファミレスでドリンクバーと軽食をつまんでいた。翔はいつもドリンクバーと冷製コーンスープを注文しては後悔する。スープの量が意外と多いからだ。日空はあきれた目線を翔に向けながら話しだした。「翔も成人したなら、これでようやく免許を取れるね!」「そっか、でも何の免許取ればいいんだろう……」「そんなのこれ一択でしょ」日空が財布から免許証を取り出した。そこに書いてあったのは『
2024年4月19日 14:23
日空は翔に、「興味あることとか何か無いの?」と訪ねた。翔は眉間にシワを寄せて、長考する。「それを今まで制限されてきたからなぁ……」「だよねーわかる。でも最高だよ!『好き』のある世界って」嬉しそうに話す日空に、翔は素朴な疑問を投げかける。「日空は免許を取ってからたったの一年くらいなのに、どうしてそんなに推し? について熱量高く語れるの」「それは、好きだからに決まってんじゃん! 好きになる
2024年5月9日 16:55
飲み干したアイスコーヒーの氷を食べながら、翔はふと体勢を整えて、日空に気になっていたことを聞いた。「推し活ばっかりしてて、大学は大丈夫なの? 俺は今日、あんたに履修の方法について聞こうと思ってたんだけど」「ママみたいなこと言わないでよ」あの人自分のことは棚に上げて ぼくの行動に目ざとくケチつけてくるんだから、と小さく文句を垂れながら、日空はノートパソコンを取り出して履修の組み方を説明した。