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虚像に恋をしていた
元恋人に別れ話をされる1〜2週間前くらい、精神が不安定すぎて寝る前によく泣いてた。
毎朝起きて「まだ、大丈夫、大丈夫」って心の中で唱えてたけど、大丈夫を繰り返したあとに「大丈夫、大丈夫って言い聞かせてるのに、何が大丈夫なんだろう」って思ってた。
付き合った当初から、私は彼の前でも感情を分かりやすく表すし、辛い時には泣く女だったけど、その時は辛い気持ちを全て1人で抱えていた。
もう、分かってしまったから。
例え恋人がいても、自分の辛さや、孤独や寂しさ、名前すらも付けられない感情の全部を、分け合うことも、受け入れてもらうことは出来ないことを。
ありのままの自分を受け入れてくれる人であって欲しかった。
でもそれは、「恋人というもの」はそういう存在だと定義していた、自分の解釈が創造した虚像だったのだ。
私は恋人という虚像を好いていた。
彼のことはもちろん好きだった。
だけど、「ありのままの自分の全てを受け入れてくれる彼」としてフィルターをかけすぎていたのだ。
恋愛感情と一緒に、私を受け入れてという一方的な感情もずっと彼に向いていたのだと思う。
でも、付き合う人は鏡だから、きっと彼もいつしか私という虚像に恋をしていたんじゃないだろうか。
お互い、ありのままの自分を受け入れてほしかった。
だからこそ、相手に矢印を向けることが疎かになってしまったのだと思う。
他人の気持ちの本当はわからないので、あくまで、私の想像だけど。
恋人がいても、友達がいても、家族がいても、私の人生の責任は私が取るのだ。
役割の違う大切な人が何人いても、それは変わらない。
それが分かっただけで、十分。