落ち込まなくて大丈夫!ネガティブになりがちなライターのためのマインド術
「家庭と両立できる仕事」で辿り着いたのがライター
―ライターになるまではどういう仕事をされていたのですか?
グラフィックデザイナーをしていました。パンフレットや学校案内、会社案内、パッケージなど、Webではなく紙での経験が長かったです。デザインの仕事は今でも好きなので、今でも依頼があれば引き受けています。
―好きだったデザイナーからライターに転身されたきっかけは何だったのでしょうか?
引っ越しや出産が重なって、家庭との両立が難しくなってきたために会社を辞めたんです。それでデザインの仕事からも遠ざかりました。コロナ禍の前で、まだリモートワークも普及しておらず、クライアントとの打ち合わせにも「できるだけ同席してほしい」と言われることが多くて。埼玉出身なのですが、現在住んでいる岐阜には子どもを預けられる身内もいなくて、退職をしました。
その後、家庭と両立しやすそうで、在宅でできる仕事を探していたところ、あるライターさんのブログでこの仕事の存在を知って「私にもできるかもしれない」と思いスタートしました。現在はライターを始めて丸2年経ったところです。
―最初の案件はどのように獲得されたんですか?
クラウドソーシングを使って獲得しました。最初は転職や育児など、自分が書けそうなものを選んで応募していたのですが、やはりそういうジャンルは競争率が高くてほとんど受からなかったんです。だから、あえて少し変わったジャンルに挑戦することにしました。それが「チベットのスピリチュアルなアクセサリー」という、かなり特殊な内容でした。石の種類や模様の意味などに関する知識はまったくありませんでしたが「ちゃんと調べれば書けるだろう」と。意図したとおり他の応募者もあまりおらず、無事に初めての案件が獲得できました。
―聞いたことのないジャンルですが、よく調べて書けましたね! さすがにその後はまったく別の分野の記事を書いているんですよね?
はい。でも、海外でのSEOに関するノウハウや、インテリアといった、同じく知見のないジャンルに挑戦してきました。未知の分野のリサーチが好きで、とても楽しい時間でした。新しい知識が得られる感覚が好きなんですね。だから、今も馴染みがないジャンルを怖がらないです。
「私がダメ」ではなく「合わなかっただけ」という考え方
―クライアントからすれば、いろんな仕事を依頼できる頼もしい存在だといえそうですね。そんな未経験のジャンルに取り組むとき、執筆で気を付けていることはありますか?
基本的なことですが、ディレクターさんからの指摘は見直して、同じミスを繰り返さないようにしています。文章のねじれや、読者像が明確にイメージできていないなど、いただいた指摘はメモして常に意識しています。ただ、改善しても突然依頼が来なくなってしまうこともありました。
―依頼が途切れてしまったときって、やっぱり落ち込みますよね。どうやって気持ちを切り替えたのでしょうか。
予定に空きができたので、他のクライアントに「もう少し案件が増えても対応できます」とお伝えしました。すると、翌月から多くの案件をもらえるようになったんです。必要としてくれる人がいるとわかったことで、あまり落ち込まずに回復できたように思います。
―それはいい切り替え方法ですね。実際に依頼が増えたのも嬉しいですよね。依頼が途切れてしまったところと、案件を増やしてくれたクライアントの違いは何だったと思いますか?
結局は相性なのかなと思います。デザイナー時代も、全力でつくったデザインがボツになったり、でも他のクライアントからは「すごくいいデザインです!」と絶賛されたりした経験があります。もちろん自分の課題を改善する努力は大切ですが、相手によって評価は変わるものだと捉えるようになってからは、過度に落ち込むことはなくなったと思います。
―自分と相性がいいと思えるクライアントを見つけるのも難しそうですよね。でもそんなクライアントと出会えたときに、意識していることはありますか?
フラットな関係を意識しています。広告会社にいた若い頃は、周りが年上の人ばかりで自然と上から目線の言動で、苦しい思いをした経験があります。でも今は、それぞれは役割をもったパートナーであり、協力しあってゴールに到達する存在なんだと思えるようになりました。あらゆる仕事相手とは、上でも下でもない信頼関係を築きたいと思っています。
岐阜から「武勇伝」を全国に伝えたい
―今後、目指しているライター像はありますか?
昔から人の話を聞くのが好きなので、インタビューをやってみたいです。広告会社に勤務していたとき、接待や会食で他社の方々の話を聞くことが楽しかったんです。インタビューだと普段は聞けないエピソードや、大事にしている思い出なども聞けますよね。その体験自体が魅力的ですし、ライターとして今まで以上に楽しく働けるのではないかと思います。
―隠れた魅力を引き出せたら素敵ですよね。
そうなんですよ! 私が現在住んでいる岐阜は、魅力的な人や商品が多いのに、取り上げられる機会が少ないのがもどかしいんですよね。だから私が発掘して、全国に岐阜の魅力や人々の武勇伝を発信したいです。
そのためには、経験を積むことが大切だと思っています。インタビューの経験は多くないので、講座を受講したり他の方に同行させてもらったり、少しずつ経験を積みながらインタビューライターとして成長していきたいです。
―前向きな考え方が印象的なろこひたさん。最初の案件獲得に苦戦している方や、クライアントとの付き合い方に悩んでいる方は、参考になるところが多かったのではないでしょうか。これからどんな岐阜の魅力や武勇伝を発信してくれるのか楽しみです。貴重なお話をありがとうございました!