佃島
ものすごく近所なわけではないし、マイチャリルートでもないけれど無性に行きたい衝動が定期的にやってきてついつい遠回りして立ち寄ってしまう街、佃島。隅田川と晴海運河に囲まれた新旧一体型の河っぺりタウンだ。
「佃煮」発祥の地、とされて久しいが全国各地に「うちが一番最初」説がそこかしかにあるようなので真意の程は定かではない。そしてやはり少しのマイナー感も拭えない。しかしこの佃島、実はなかなかどうして素敵なヒストリーを持っている。佃島の漁民のルーツは江戸っ子ではなくナニワっ子なのである。かの徳川家康が現在の大阪市西淀川区佃の漁民を呼び寄せて発展させたのだ。大阪の血も混ざってるなんて実にグローバルじゃないか!家康が美味しい魚が食べたかったのか、はたまた「本能寺の変」のときに大阪佃の漁民に助けられその厚い恩返しとして漁業権を与えた、などこれも諸説あるらしい。あいにく当方レキジョではないので知りうる歴史秘話ヒストリアはここまでだ。ただ、この佃島を発端に江戸の漁業が日本橋魚河岸へと拡大していったことは特筆すべき佃島すごいじゃんポイントとしておこう。
めぼしい観光スポット的なものは無いが、すぐそばの月島でもんじゃを食べたあとに散歩で訪れる定番というとこちらだろう。
江戸の残り香が色濃く漂う住吉神社。湊町であることから海上安全、渡航安全の守護神として近隣の月島、勝どき、豊海、晴海あたり一帯を見守り続けている。
こちらは神社奥にある旧神輿倉庫。荘厳な神聖臭はんぱない。
古くから立ち並ぶ町並み、ぷかぷかと浮かぶ船、近くの佃公園で子どもたちが汗ダクになって駆けずりまわる賑やかな笑い声、なんともいえぬ郷愁感。かと思えばコレ。
ほんの少し歩くだけでこんな光景が広がる。これまたあまり知られてないのだが佃島エリアは都心の超高層住宅街の先駆けでもあったりする。新旧の表裏一体、というのとは違う、なんというか古参新参が仲良く手を取り合って街を作っているような感触がとても心地良いのだ。
そして本日は水の日ということで隅田川12橋で青い光が照らされた。
医療従事者への感謝の気持ちということも含めてのささやかなイベントのようだ。そんな金の無駄遣いするな、なんの意味も無い!なんて、まあまあ旦那、そんなの風に言うのは野暮ってもんだ。今宵目の前にいい景色がある。ただそれだけでいいじゃないか、と一瞬でもおおらかな気分になれたらめっけもの。川の流れを見やりながら梅雨明けの風に吹かれたらビールが飲みたくなった。さてしょっぱい佃煮でも買って帰ろうか。