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春の魔法
いつものように自転車で街を駆け抜ける
柔らかくなった太陽の光
春の匂い
通りに出ると、桜並木が出迎えてくれる
風が吹くたびに
静かに淡いピンク色の花びらが舞う
それはまるで魔法のような
不思議なエネルギーをもっていて
一瞬で過ぎ去ってしまう
しかし、街に住むわたしたちの内側に
確実に、目に見えぬ形で影響しているのだ
。
薄いピンク色の風と香りが通りを抜けると
わたしたちは、
心の中にある、木の芽が少しだけ柔らかくなり
花開く準備を始める
これから始まる、新しい季節を感じ取り
魂の色が、冬の白色から
若葉の黄緑と桜の薄ピンクに変化してゆく
なんだか、大丈夫な気がする
みんな、おんなじな気がする
。
一瞬で散りゆく魔法
あっ
という間に消えゆく魔法
でも、儚くなんてないよ。
次会えるまで、もう少しがんばろうかな って
いまはまだ生きてみようかな って
そんな希望を人に与えるための、
一瞬にして、大きな、やわらかい魔法。
。
そんな、桜のような
春の魔法のような時間の愛おしさを
胸に抱いて、糧にして。