罪もない一家を惨殺した死刑囚は、なぜ脱獄したのか⁈ 「正体」
脱獄した少年死刑囚の488日を追うミステリー小説。
高校生だった少年が一家を惨殺して死刑判決が下ります。
少年は脱獄し潜伏先で名前を変えながら生活するんですが、潜伏先で関わった人達が少年が脱獄犯だということに気づくものの、本当に彼が殺人を犯したのか?と疑問に思う人達の目線から見た小説です。
以下ネタバレ
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冤罪とデジタルタトゥーに苦しむ元弁護士、署名の力の怖さを身をもって知ってる少年など、少年死刑囚と同じ境遇の人達や逃走先で関わった人達が彼の無実を訴える為に、少年死刑囚の死後にも関わらず行動したことで、少しは彼が救われたと思いたい。
読んでる途中で結末が知りたくなり先読みし、少年が亡くなるのを知って、続きから読むのが辛くなった。
まだ私が読んでる時点では彼は生きていて、彼は希望を捨てていない。
読むごとに彼の死が近づいてきて、読むペースが格段に落ちた。
警察の誘導尋問、保身の為の証拠隠滅、そして身柄を拘束して抵抗出来ないのに話をすり替え、殺害したこと。
現実にもそういう事が何件かあるのを知ってるし、表に出てきてない冤罪もあると思います。
小説とは分かっていても、少年には生きていて欲しかった。
決して諦めずに、どんな状況になろうとも最後まで自分の正義を貫いた少年。
人助けしたのに冤罪で捕まり、逃走中の身で捕まる危険があるのに、迷わず人助けをしたこと。
自分が少年と同じ立場なら、人助けした事で捕まったので、また人助けしようと思えない。
自分の死後に無罪だと信じてくれた人達が行動して、有罪から無罪に覆したことで、彼の無念が少しは晴れて欲しいと思った。