蝶になりたい精神障害者 #5
いま通っている病院は薬に関する知識が高く、また認知療法や認知行動療法に重きを置いている。
あと犬がいる。かわいい。
ただ、わたしの不安はそんな簡単に消える訳ではなかった。
カウンセリングを受けても意味があるのかわからなかった(最初は臨床心理士さんの聞いている意味や意図が不明すぎて不信感しかなかった)し、薬が減ること自体が怖かった。
でも、このままでは一生ラムネ菓子のように薬を貪る日々が続くのだ。
2週間に一度、わたしは犬に会える、犬に会える…と自分を奮い立たせ頑張って通った。
現在では主治医や担当の臨床心理士さんとの関係もよく築けていると思う。
また、転院してからわたしの病名は「双極性障害」に変わった。
いまの主治医がわたしの様子を見ていると、それの症状にあてはまるらしい。
また、「発達障害」の心理検査も何日も何時間もかけて受けた。見事に「発達障害(ADHD、ASD)」だった。
人間関係が上手く構築できないのも「境界性パーソナリティ障害」のせいらしい。
精神障害者福祉手帳も取得した。2級だった。
わたしは思いのほか生きるのが難しそうな人間だった。
その割にはよく頑張ってきた方だと思う。
前職を辞めてからずっと引きこもっていたが、それも暇なので24歳の時にハローワークで紹介された求職者支援訓練のビジネスパソコン教室に通うようになり、Word、Excel、PowerPointは一通り使えるようになる。
日本語ワープロ検定2級も取れた。
それが終わると教室の先生からは早く就職しろ、みたいなプレッシャーがかけられる。
また引きこもりになる。みんなと同じように就職なんてできる訳がない。
いくら障害者雇用があると言ったっていきなり週5でフルタイムはキツい。しかも田舎なので、車がないと通勤できないところばかりだった(お金がなくて免許が取れない)。
でも、暇すぎていくつかアルバイトに応募した。
その当時住んでいた家は、最寄りの駅まで自転車で15~20分くらいかかった。
しかし、自転車、電車、バスすべてを使わないと通勤できないアルバイト先に就職してしまった。
精神疾患や障害のことを話しても採用してくれたから。ただそれだけだった。
新しいアルバイト先は下着や靴下を販売している某アパレルチェーン店。
華やかな職場だと思ったが、それは表面上だけで内情は全然そんなことなかった。
まず、一番嫌だったのが「発達障害」が最も苦手とする「大体で」とか「このくらいで」とか「ある程度」とか「自分で考えて」とかあいまいで正確性のない表現で指示されることだった。
あと、「双極性障害」特有のダウナー期が来て笑顔が作れない、みたいなのも許されなかった。
次に、忙しくなるとみんなイライラしており、最終的に店長がバックヤードで受話器を壁に投げつけているのを見て怖くなった。
最後に、女性どうこう言いたくないがなんかそういう関係でドロドロした雰囲気で空気がよどんでいる。
スタッフはもともと少なく、遅刻・欠勤・早退は厳禁だったがそういった理由でせざるを得なくなる。
結局迷惑をかけまくり、辞めることになる。
精神疾患や障害の話は聞いてくれたが、「理解がある」職場ではなかったのだ。
蛹は羽化から遠ざかる。
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