映画『RRR』を5回観た
『RRR』を、ご存じか?
私が2022年ベストムービーに選んだ作品です。
「友情か?使命か?」
RRR通過後は、このキャッチコピーだけでむせび泣いてしまうし、
タイトルの「R」の手を繋いだ装飾で歓喜の雄たけびを上げます。
『RRR』が公開されたのは昨年で
当時の私は「まぁ観る映画ないし、行くか」と思い
ふらっと鑑賞したのでした。
それがまさか5回も映画館に通うことになるなんてな。
3時間映画なので、ざっと15時間映画館で『RRR』を観たことになります。
人生におけるもっとも有意義な15時間の使い方です。
映画が結構好きなのですが、
こんなに同じ映画のために映画館に足を運んだのは
よく考えたら『プロメア』以来でした。
周囲がどんどんFIRRREされていく
『バーフバリ』は観ていなかったものの
ラージャマウリ監督の評価はよく目にしていました。
とにかく熱狂的なファンが多いな、という印象。
『RRR』公開前後も彼らはお祭り騒ぎで、
「公開初日は映画館に1日いたいので有休をとった」
「地元では上映がないから新幹線で観に行く」
などという穏やかではないツイートが飛び交っていました。
「まぁ1週間もすれば落ち着くでしょう」と見守っていましたところ、
初日よりも次の日、次の日よりも一週間後、
年の瀬に差し迫っても
いまだ彼らの熱は止むことなく、
「兄貴の炎を消すな」などと未鑑賞者に優しくない表現で叫びながら
ニコニコと映画館に通っているのでした。
福岡のR誕生の瞬間
「映画好きだよね?観ない?」とついに勧められてしまい、
確かにそうだけどボリウッドはそんなに知らない…と返したところ、
「君の好きな友情バディものだよ」という悪魔のささやきが。
『トイストーリー』とともに育ち
『プロメア』の炎を胸にともし続ける私にそれを言うのか…と、
断たれた退路をながめつつ
映画館に足を運んだのでした。
そうして3時間、暗い箱の中に閉じ込められ、
扉を開けて蛍光灯の光を浴びた次の瞬間にはもう、
暴れる群衆をなぎ倒し使命を全うし
猛獣とのタイマンに勝ち
解毒作用のある雑草を見分けることができ
サルサでもフラメンコでもないナートゥをご存じになり
もうひとりのRとなった私が誕生していたのでした。
じわじわと脳がRRR化していく3時間
ストーリーのネタバレは差し控えますが、
「さすがにいらんでしょこのシーン笑」と思ったシーンが
ことごとく回収されるだけでなく、
緻密でさりげない前フリがしっかりと描かれ
「普通ならこうだけど、違うかもしれない!RRRならやりかねない…!」と
ハラハラさせられる。
これを全て生み出しスクリーンに実現させたラージャマウリ監督の脳、
どう考えても人類の領域を超えてます。
もちろん2回目以降もしっかり楽しいし、
細かい気づきができるのはリピートならではの楽しみ。
上映時間が長いし、はじめから味わい尽くすのは大変ですもんね。
鑑賞ではなく体験、だから映画館に行け
私が『RRR』にハマったのは、まぎれもなく
映画館という特殊な環境下で鑑賞したという部分が大きい。
スマートフォンを切り、
暗闇の中、視界いっぱい広がるスクリーンと大迫力の音響で
強制的にストーリーに没入させる映画館という場所は、
『RRR』と大変親和性が高いです。
なぜなら、『RRR』は体験型映画だから。
とにかくエネルギッシュ、
怒涛の展開と小気味いいテンポ感、
盛り上がるべきタイミングでは鑑賞者の想像を超え
制作費97億円とインドの脅威の人口密度によってぶん殴られる経験は
映画というより、むしろライブや遊園地に近い。
気付いたら心が熱くなる
何週もした今でこそ「元気になりたい」と思って観ていますが
初見の時は、そこまで期待していなかったこともあり、
こんなにエネルギーが湧いてくる映画だとは
思っていませんでした。
映画は、静かなものやバッドエンドも好きで
とにかくアツい!というような作品は、
実はそこまでたくさんは観ません。
あらすじや歴史的背景を勉強して映画を観るタイプでもありますが、
ろくな予習もせずに映画館に行ったのを覚えています。
それでも、絶対に一発でストーリーを理解できる親切設計、
壮大な規模で描かれる迫力の映像、
色彩のカラフルさ、
とにかくたくさん人が出てくるガチャガチャ感、
何かはわからないけど登場人物の持つ壮大なエネルギーに突き動かされ
気が付いたらストーリーの中で一緒に戦い、手を握っている。
そんな作品だと思います。
普段そこまで映画を観ておらず初インド映画だった旦那さんもドはまりし、
ハッピーなことがあればナートゥを踊り
私に怒られればうつむいてコムラムビームを口ずさむ始末。
上映している映画館も少なくなってきていますが、
(むしろ10月公開でまだインド映画が上映されている奇跡)
まだまだ映画館で観るチャンスはいくらでもあるので、ぜひ。
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