見出し画像

9/18 雨が止んだら

バイト先へ向かうために家を出てから
退勤後に別の用事も済ませて家に帰るまで
10時間のあいだに3回泣いてしまいそうになって、
3度目には、ほんとうに涙が流れた。

どうしようもなく悲しくて、さみしくて、
雨のなか、人混みをじょうずに歩けなかった。
今くるしいです、と言いたいひとがいなかった。

だれにも助けてもらいたくなかった。
気持ちが晴れてくれたらうれしいけれど
深い海の底に沈んだわたしをすくい上げるのは
だれかではなく、わたしがいい、と思った。
こういうとき、相手の事情なんてお構いなしに
泣きつくことのできてしまうおんなのほうが
可愛げのある生きものなんだろうか、と
雨があがって傘を差すひとのいなくなった繁華街を
ひとりでふらふらと歩きながら考えていた。

一度でもじぶん以外のだれかに救われてしまったら
これは病気だから、ゆるされて当然だろう、と
心のどこかでそう言い聞かせていた頃の
いたくて可哀想なじぶんに戻ってしまいそうだ。
可愛げなんて無くていい、だれも失いたくない。

くるしいとき頼って、と言ってくれたひとが
ずっと頭のなかにいた。だれよりも好きで大切で、
だから傷つけてしまいたくなかった。

差し伸べられた救いの手を突き放す痛みよりも
その手が離れていってしまうことのほうが怖いし、とじぶんに言い訳をして、ひとりで泣いた。

雨が降ったらじぶんで傘を差す、
嵐が去るまでひとりでじっと耐える、
そうやって生きていくと決めたのはじぶんだ。

いいなと思ったら応援しよう!