大人のスタートライン一歩前。

僕はできるだろうか。

指先は白に染まっていた。


僕より足の速い奴なんてたくさんいるし。
全国大会なんて夢のまた夢。
県大会ですら厳しい。
グラウンドに汗を滲ませても何一つ爪痕なんて残らない。

真っ白なグランドの上で僕は何もできない。

そんなことはわかってる。

だからそんなことを悩んでいるわけじゃない。


美談として語るには何もない青春を
黒板に石灰を滲ませて語れるかを悩んでるんだ。

なんでもない日常が誰かを育むだろうか。

どうなるかわからないけど
今はまだ走りたい。


スタートラインの白線に手を伸ばした。


然有琉 湊(さあり みなと)

<あととがきー<
先生は部活陸上やっててな。って話いつかしよう。

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