自傷がバレた日-おわり(仮)-
とても優しい否定をもらったこと。
前回はこちら↓
私はその夜先生に言葉に甘えてメールをした
言えなかったことがあったのだ
メールの内容は主に報告した子について
“報告した子には傷跡を見せて不快な思いをさせてごめんなさいということ、心配しなくていいということを伝えてほしい”と頼んだ
そして“報告した子が確信を持っていないなら傷は見間違いだと言ってほしい”とさえ言った。水和は自傷している子ではないと思わせたかった
それは自傷癖があると知られるのが嫌だったからではない
私自身、他人の不安定さに引きずられやすいからその報告者が不安定になってしまうことしか想像できなかった。それが怖かった。自傷が持つ伝染性が怖かった。選択肢に与えたくなかった
なので先生に“教えてくれた子が不安定になることが何より心配だから気にかけてあげてほしい”と言った
ただでさえ私で負担を増やしてしまっているのに違う子にも気にかけてほしいなんて…
そう思った私は、“私は大丈夫なので”という言葉を付け加えた
実際に私は大丈夫だった。平気だった
だって今までと変わらないんだから
そして震える手で送信ボタンを押した
翌朝、スマホを見ると先生から返信が来ていた
本当に返してくれるんだ…驚きながら心臓をバクバク言わせつつメールを開く
先生のメールはそれはそれは温かいものだった
先生は水和がそれで安心するなら相手には水和は大丈夫だと伝えておくと言ってくれた
行が空いて先生は水和が大丈夫ではないと思います そう書かれていた
初めて“大丈夫”を否定する人
本人が大丈夫だと言っていた と言えるような状況でそれは違うよねと言われて私はびっくりした。それは嬉しくて温かい衝撃だった。ふわふわのマットレスの上に落とされたみたいな感覚だ
そして悩みは解決しにくいかもしれないけどまた愚痴りながらでも笑って教室に来てくれたらと思う 先生に出来ることがあれば言ってくださいと書かれていた
何度も繰り返し漢字で書かれてる本名が嬉しかった
“私”と話してくださっていると思えたから
あぁ電車で見るものじゃないなあ
うっかり泣きそうになる
心がほわほわする
一つ一つが優しくて痛い
本音を言うならば報告者なんていないんじゃないかと疑ったことは何度もある
というか正直いないと思う
理由は大まかに3つ
①正直、高校生の中に他人の自傷行為を辛いのかなぁと思える人はそういないと思う
実際、偏見や悪口ばかり耳にしてきた(この前もリスカとかきもいと言ってるのを聞いた)
別にそれはそれで真っ当だと思うけど
②仮に本当に私の腕が見えてしまいSOSと捉えた子がいたとして担任に報告するかなぁとか考えてしまう
私は決して先生と仲が良い生徒ではないから。結果的に良かったもののハイリスク過ぎる行為では…。その子も消化できなかったのかなぁ。だとしたらそれが一番心配なんだ
③この行動に出るメリットが大人にはあるということ
ふとそう思った時、私のメールはなんと滑稽なんだろうとか考えてしまう
信じたくないわけじゃないのに裏をかいてしまう
嫌な人だなあ、私
でもどちらが真実でもきっともうここに悪意はないから少しだけ身を委ねてみたい𓂃𓈒𓏸𓍯