ほんとうに危険なもの
観たいコンテンツがあってDisney+の契約をして、ひと月ほど経った。他にどんな番組があるのか探していたら、『Desperate Housewives』を見つけた。とても懐かしい気もちになった。このドラマは郊外に住むいくつかのタイプの女性たちがガチャガチャやる、サスペンス・コメディである。
ちょっと時間を持て余した休日の午後に、このドラマの視聴を開始してみたんだけど、メインキャストのひとり、ブリー・バン・デ・カンプは全米ライフル協会会員、銃を4丁所有している設定で、この人はたいへんな淑女である。夫のレックスが浮気をしたあてつけに薬剤師のジョージとデートをする。あるときジョージから、彼の祖父の形見であるアンティーク銃を贈られるエピソードが印象的だ。すてきな銃だった。
このドラマに限らず、映像作品の中で見られる銃にはわりと注目しているほう。
ほかに銃というと私としては妹尾河童さんを思いだす。モデルガンのコレクターで、モデルガン愛好家協会の会長として過去の銃規制強化に対して戦ったりしたらしい。
印象に残っているのは、著書の『河童が覗いたヨーロッパ』の中におさめられた、トカレフとワルサーP38についての文章とイラストで、気候風土や国の持つ気質とのかかわりという視点から書いてあった内容だった。詳しく紹介したいところだけど、長くなるので割愛する。
それとヨーロッパ各国には大抵「武器博物館」があるけれど、日本にはないということについて、日本とヨーロッパ各国における「何をもって危険とするか」の意識の違いに対する彼の意見が興味深かった。
そういえば以前、父の知人がワルサーPPKを見せてくれたことがあった。写真があるから載せようとおもったけれど、たぶんそれはよくないのでやめておく。触らせてもらったそれは、ひんやりしてずしりとしていた。
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2年ちょっと前に、家族でハウステンボスに行った。家族というのは両親と兄姉、兄の家族で、うちは商売をしていたし家族旅行というものをしたことがなかったから、初めてと言っていい。
そのときに、数あるアトラクションに並ぶ時間に耐えられなかった私たちは、エアガンの射撃体験アトラクションが空いているのを見つけた。空いているしおもしろそう、というので、父母と姉、甥っ子(小学生)とで中に入った。
選べるモデルガンは、ハンドガン装弾数16発、マシンガン装弾数約130発、ライフル装弾数約10発、子供用マシンガン装弾数約170発。
マシンガンは装弾数が多く、ダダダダッと撃ってみたくて(ライフルも興味深かったけれど、ずいぶん重量がありそうだった)私はこれを選んだ。確か母と姉もマシンガン、甥っ子は子ども用マシンガンだった。父は説明を聞いたうえでハンドガンを選んでいた。
マシンガンなんていうのは、そんなに狙わなくても当たるものだ。乱れ撃ちみたいにしてわりと楽しんだ。
で、ハンドガンなんだけど、父のシューティング・ターゲットをみるとぜんぜん当たっていなかった。しろうとだし(当たり前か)、手首がクネクネしたんだろう。ハンドガンで狙うのは難しそうだ(どうしてこれを選んだんだろう)。
銃は、危ない。特につい最近の、あの事件のことをおもうとこの記事に眉をひそめる人も多いかもしれない。
銃が危険だという、その意見はもっともだし、国内外問わず規制について色んな意見があるのも当然である。だけど「手にしてみたい」「撃ってみたい」という欲求そのものが危険だとか、問題であるとはおもっていない。何にしてもそうだけれど、何をもって危険となるかは扱う側の意識によるものだから。
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ワルサーPPKの写真は載せられないけれど、ある町の、ある喫茶店のケーキ(小豆スフレ)とコーヒーを載せておこう。ここの主人もモデルガンなんかが好きなようだ、ということで。