【私と本】アルバム『ペット・サウンズ』とビーチボーイズというバンド
私がビーチボーイズというバンドの音楽を改めて『聴いてみたいな』とおもったのは、この本がはじまりだった。
ある日書店で、この本が平積みされていたのを手に取ってからだとおもっていたのだけど、確か書店で私が見たのは文庫本、文庫本が発売されたのは2011年のことのようだ(単行本としては2008年)。読んだのは2年ほど前だったとおもうから、ずいぶん記憶が散らかっている。
とにかく、この本を読んだ。そしてバンドの音楽を聴きたいとおもった。それまでに、流れているのを聴いたことはあるけれど、私はきっと意識をしていなかったとおもう。そういうわけで、父に店でレコードを流してもらっていたら、そこにやって来たKH氏が1枚のアルバムを貸してくれた。それは『The Very Best Of/The Beach Boys』だった。
父がかけてくれたレコードも、KH氏が貸してくれたCDアルバムも、そのどちらも『ペット・サウンズ』ではなかった。アルバム『ペット・サウンズ』を聴いたのは、それからまた数か月後だった。
この本は、1950年代の初めに生まれた(と考えられる)ニュージャージー出身の著者によって書かれたものを、村上春樹氏が翻訳を手掛けた本で、つまりこの方の翻訳とあれば何の心配もいらない(私にとって)。
うちの父にも言えることだけれど、この年代の人たちにとってのこのバンドの音楽(存在)というのはあらゆる影響力を持っていたのだろうなと想像する。この本では、著者が過ごした幼少期から少年期について始まり、このバンドとの出会いを経てバンドの(そしてブライアン・ウィルソンの)成功の過程とその裏にあったいくつかの出来事について年代を追って書かれている。ところどころ、音階などについての記述がつづき、知識のない私なんかは読み飛ばしちゃったりしたけれど、きっと音楽に詳しい人なんかは頭の中にメロディが浮かぶんだろう。私はずぼらをして、そういった箇所では該当の曲を流しながら読んだ。
生きづらさって、年代ごとにあって、それぞれがそれなりに暗く、重く、とても辛いものだとおもう。父の年代(いわゆる団塊の世代)あたりには、このようなバンドの音楽にずいぶん多くの人が救われたんだろう。それはとても羨ましく、幸福で、すてきなことで、だけどその影にはやはり、このような音楽を生み出した彼らの苦しみなり悲しみなりが凝縮されているのを感じて、せつなくもなる。
えーっと、私は初期のごきげんなサーフミュージックも好きだし、アルバム『ペット・サウンズ』のなかのいくつかの曲と、その中でも特に「神のみぞ知る(God Only Knows)」にはうっとりとさせられる多くの人のうちのひとりです。
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