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枝ごとの金柑

 外海(そとめ)という地区があって、月に一度は出かけている。仕事とはほとんど言い訳で、土地と人が大好きなのが出かける理由となっている。

 いつもお世話になっているTKさんに、先週すえに連絡を入れておいた。メールの返事は「キリンの首のようにして待っています」だった。頬がゆるむ。
 朝から出るのが少し遅くなってしまったけれど、待っていてくれた。ひと通り(いちおう)仕事の会話をすると、あれこれと車から出して渡してくれる。この日はタラの芽とツワ、TKさんの畑でとれるみずみずしいカリフラワーや庭に置いてある原木のシイタケに、これも庭の金柑の実をなんと枝ごと渡された。

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 「そのまましとったらヒヨの食うてしまうけん」と言っていた。ヒヨとはヒヨドリで、白菜なんかもむしゃむしゃ食べてしまうらしい。こんなに立派な金柑が生っていたら、小鳥たちはたまらないだろう。金柑の枝には棘があることをこのとき知った。

 TKさんの奥さんは、お菓子をつくる。手間ひまかかるものも多く、どれもおいしい。シフォンケーキは世界一だ(わたくし調べ)。この日は新作と言って、小ぶりのシフォンケーキにアイシングのお化粧をしたのをいただいた。甘すぎないだろうかとおもいつつ、持ち帰ったケーキを食べてみたら、アイシングはゆうこうという外海特産の柑橘の味がして、さっぱりしたおいしい甘さだった。

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 さっき、この金柑を枝からとって食べた。お日様の味がした。

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