株における「ジブリの法則」は実在するのか?
私自身、株は未経験なのですが、友人からの薦めもあり、データ解析の勉強を目的として、株における「アノマリー現象」に関する調査結果をnoteで記載していきます。初回は、「ジブリの法則」について調査したので報告します。ご意見・ご感想などいただけると幸いです。
✅背景・目的)
株では、根拠は不明確であるが、ある因子が存在すると株価が上がりやすいという経験則が知られており、アノマリー現象と呼ばれている。この中で特に有名なのが、金曜ロードショーでジブリ作品が放送された翌週の月曜日は、株や為替が荒れるという「ジブリの法則」である。今回、「ジブリの法則」の存在を確認するため、過去3年分の株価データを解析した。
✅方法)
2018年4月〜2021年3月に金曜ロードショーが放送された日の日経平均株価(放送日株価)と放送翌週の月曜日株価(翌月曜株価)を調査した。金曜ロードショーにおけるジブリ放送(ジブリ群)とジブリ以外の放送(その他)を比較することで、ジブリ群の翌月曜日株価への影響が実在するのかを検討した。比較項目は、翌月曜株価、放送日から翌月曜までの株価の変動量(翌放送日株価と放送日株価の差)と放送日株価に対する翌月曜株価の変動率(変動量/放送日株価)とした。
✅結果)
1.ジブリ作品放送時期と放送内容
2018年4月〜2021年3月の期間で、金曜ロードショーが放送されたうち、株価データが取得できたのは133回であった。そのうち、ジブリ群は19回、その他は114回であった(表1)。
2.金曜ロードショー放送後の株価変動
金曜ロードショー放送133回について、放送日株価と翌月曜株価は正の相関関係にあり、著しく大きい又は小さい株価変動量は見られなかった(図1)。
3.ジブリ放送後の株価変動量
ジブリ群の変動量について、回帰直線は放送日株価が低いほど、上昇する傾向にあったが、決定係数(R^2)は0.0569だった。反対に、その他の変動量は、放送日株価が高くなるほど、上昇する傾向があったが、R^2は0.0176だった(図2)。
4.ジブリ放送後の株価変動率
変動率について、ジブリ群とその他で、変動量と同じ傾向を示していた(図3)。
5.株価変動率の比較
株価の変動率について、ジブリ群とその他で差はなかった[-0.16%(-2.14%〜+4.24%)vs+0.25%(-3.47%〜+2.71%)](図4)。
✅考察)
ジブリ放送後の変動率は、-0.16%(-2.14%〜+4.24%)であり、時期による影響は見られなかった(表1)。一方、翌月曜株価と放送株価は正の相関関係にあり、変動率は、放送日株価の値に依らず、ほぼ一定であることが示唆された(図1)。このことから、ジブリ群の株価変動量および変化率における、放送日株価が低いほど上昇する傾向は、放送日株価の値に影響される可能性は低いと考える。しかし、変動率におけるジブリ群とその他に有意差はなく、株価変動量および変化率におけるR^2は0に近いことから、本結果で示された傾向は、統計的に意味のあるものではなく、「ジブリの法則」が存在する根拠にはならないと考える(図2,3)。
✅結論)
2018年4月-2021年3月の3年分のデータでは、金曜ロードショーでジブリが放送された翌月曜の株価は、放送日株価が低いほど、上昇する可能性があると示唆された。しかし、本調査結果は統計的な意味を持たず、使用したデータは3年分と短いことから、調査対象を5年、10年と延長することで結果が異なってくる可能性は高いと考えられる。
✅末尾
本調査で「ジブリの法則」を確認することはできませんでしたが、調査は継続していきたいと思っております。
✅参考資料)
yahoo!finance
https://finance.yahoo.com/quote/%5EN225/history/
♯ホビヲログ<金曜ロードショー>過去の放送一覧https://www.hobiwo.com/entry/kinro
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