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【競馬】狂気の鬼脚スマートオーディン、そっと静かにターフを去る

年末年始は別れの季節。すでに有馬記念がラストランと表明されていたラッキーライラックに加え、ゴールドドリームやノームコアらも引退が決定。さらに右前脚の不安で休養に入ったフィエールマンも、今日になって現役生活に別れを告げることが決まった。

彼らのように国内外のG1で好勝負を演じた末での引き際に比べるとはるかに地味になってしまうが、スマートオーディンが京都金杯(9着)をもって引退、種牡馬入りすることになった。事前の予定通りのラストランだったが、近走と同じく序盤から思い切り引っかかってしまい、この馬らしい末脚は見られずに終わった。

しかし、彼が近年でも最大級の盛り上がりを見せた2016年クラシック戦線の主力として輝きを放っていたことは忘れずにいたい。父ダノンシャンティ譲りの爆発的な末脚で、2〜3歳の間に重賞を3勝。中でも、武豊を背に追い込み一閃を決めた東スポ杯2歳Sは強烈なインパクトを残した。内にササるのを矯正されながらも、キレッキレの末脚で大外をブチ抜いていく「狂気の鬼脚」こそ彼のトレードマークだったように思う。

ポテンシャルは間違いなくG1級のものを秘めていただけに、日本ダービー(6着)後の長期休養が今でも本当に悔やまれる。無事ならマイル〜2000mを舞台にどれだけ活躍できたことだろう。あるいは、3歳春の時点でNHKマイルCを使っていたらどれだけのパフォーマンスを見せてくれたか。2歳女王メジャーエンブレム相手でも、外から豪快に差し切ったんじゃないかと思うほど。

約2年にも及ぶブランクを経たあとは、本格的に気性の危うさを露呈。距離もマイル前後に絞って使われることになった。 その中で復活の勝利を挙げた19年阪急杯は、個人的にも非常に思い出深い一戦。実はこのレースで久々に一発あるんじゃないかと期待していたのだ。前走の京都金杯でもキレを取り戻しつつあった末脚が、1400mへの距離短縮でハマるのでは、と。すると見事に4角最後方からズドン。かつての「狂気の鬼脚」が蘇った瞬間だった。
しかし馬券は痛恨の1着3着..いくら穴馬として狙うにも、この馬から勝負する度胸はなく◎ロジクライとの馬連しか持っていなかった。せめて単勝を少しでも持っておければ..と今でも悔やまれる。

※旧ブログを読んでいただければ悔しさも伝わるかとw

結局これがスマートオーディンにとって最後の輝きとなった。以後は展開がハマることもなく、引っ掛かるのをなだめるうちに終わってしまうようなレースの繰り返し。歳も重ねたことで、ついに引退が決まった。
そっと静かにターフを去ることになったが、G1勝ちもない牡馬が、事前に引退を決めた上でラストランを走り終えてスタッドインできるのは幸せなこと。恐らく種付け頭数には恵まれないだろうが、すでに種牡馬を引退したダノンシャンティの後継として活躍馬を出してくれることを願いたい。

できればその産駒も「狂気の鬼脚」を宿してくれていたら最高だ。


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