その仮説、本当に効く…?採用広報ロールのわたしが、施策検討のプロセスを見直してみた話
この記事は「HR Community ひつじんじ Advent Calendar 2024」6日目の記事です。株式会社ispec、採用広報ロールのえみまるが担当します。
ちなみに5日目「人事歴3年 心の拠り所となった書籍5選」を担当したTakamichi Dobashiさんには、ひつじんじ&人事図書館コラボイベントでお世話になり、アドカレについても「一緒に頑張りましょ〜」とエールをくださいました。あたたかいメンバーと、安心して過ごせるコミュニティに大感謝…🙌
皆さんは、自社に合った施策を企画・実行する際、どのようなプロセスをふんでいますか?
この記事では、採用広報担当のわたしが「ふわっと仮説を掴んだら、即施策に!」の思考から「確度の高い仮説を求めてから、施策を検証しよう」へシフトした体験をレポートします。
短期的な視点の「やってみよう!」を優先していた
どんなチーム?
どんな悩みがある?
『仮説検証のプロセスがおざなりで、施策の効果が測れない』
これまでは、課題の特定を基に施策を導き出していました。
・キャンディデートジャーニーマップを活用し、アトラクトポイントを特定
・チームでKPTを出し合い、問題を抽出 …など。
これらから抽出した課題やTryを参考に施策化してきましたが、本来考慮すべきプロセスがおざなりでもありました。
組織体制を含め、採用広報の土壌が整ってきた今だからこそ、プロセスの切り替えが求められていました。
中長期的に成果を狙うプロセスへシフト
「エンジニアをアトラクトするための採用広報は?」という問いに対し、過去の議論で挙がった要素を振り返ると、
・開発組織の特徴の提示
・開発者の評価・グレードの提示
・開発者向けの学習環境を提示
…などが浮かびます。いつもならこの時点で「よし、コンテンツにしちゃおか!」と動くのですが、堪えます。
今回は、これらの"仮説もどき"の信憑性を確認し、検証可能な施策を考えます。プロセスはこんな感じ。
1.事実を調査する
「点」ではなく複数の事実を集め、傾向を調査します。
直近、エントランスブックの運用方法を模索していたことや、面談メンバーが新たに加わったことが背景にあり、今回は、初回接点から面談参加までのフェーズに着目し、面談時に受けた質問を調査しました。
まずは、過去受けた質問を候補者ごとに抽出します。
併せて面談担当者から、印象的だった候補者の人柄、バックボーンを補足してもらい、一覧化しました。
質問を整理すると「概念的な質問」「具体的な質問」「個人的な質問」にざっくり分類できそうでした。さらに候補者のバックボーンを重ねると、こんな傾向に。
💡 事実 💡
2.仮説を立てる
候補者から求められている項目は何か、仮説を立てます。
「各質問の意図」「回答にあたるコンテンツはあるか?(= 面談で適切に答えられたか?)」などを整理します。1.でまとめた候補者のバックボーンも参照しながら意図を考えると、仮説の輪郭が見えてきました。
以下に一部を抽出します。
アウトプットの方向性までイメージできた際には併せてメモしました。
こんな感じで根気強く、相手の意図を汲み取る作業を行なったところ、次の仮説が立ちました。
💡 仮説 💡
3.理想像や成果を定義する
仮説が正しかった際に得られる成果を定義します。
ここで改めて、採用広報ロールのアカウンタビリティは「社外へのアウトプットを通じ、採用の効果をあげる」であることを認識し、この責務とフィットした理想像・成果を定義します。
定義づけの鍵となったのは、担当者が面談後に振り分けるラベル「面談後の温度感」と、直近の「選考参加率」でした。
傾向を書き出すとこんな感じ。
担当者いわく、「希望があれば選考に進んでほしい」候補者は、アトラクトができなかった・相手のことが分からなかったとのこと。特にポテンシャル層が多く、選考参加率も低いよう。改善を目指し、参加率を引き上げることが成果基準となりそうです。
💡 理想像と成果基準 💡
4.優先順位を設定する
目指す理想像と成果に合わせ、施策化の範囲を絞ります。
「1.事実を調査する」で抽出した具体的な質問を見返しながら、どのトピックから対応すべきか?次の観点で実施範囲と優先順位を策定しました。
3点に当てはまる項目を優先度「高」として、仮説を施策化していきました。
💡 優先度「高」 💡
施策:ポテンシャル層に対し、ispecの成長プロセスに含まれる仕組みと環境を明示する
項目
1on1・目標管理・ペアプロ実施・グレードのあり方等、成長プロセス等方針
成長を促す環境を紹介し、設計の背景を紹介することがアトラクトになるかも
次のグレードを狙うサイクルをどのようなプロセスを用いて促すか紹介想定手法
採用広報コンテンツによる網羅的なアウトプットを準備
実態をポジティブに伝えられるよう、組織体制の点検・見直しを打診
施策:キャリア層に対し、ispec事業が狙う方針と最新動向を伝えられるようキャッチアップの仕組みを作る
項目
事業方針・新規事業の進捗等方針
事業戦略や技術選定の背景、組織運営の全体像がアトラクトになるかも
担当者の言葉で、事業の動向や臨場感を伝える想定手法
暫定版の事業モデルを図解、スライドに設置する
事業の最新情報をインプットする仕組みを作るため、サークルのMTG・全社会の機能を調整する
5.施策を実行する ※現在進行中🏃♀️
コンテンツの叩きを作成したり、社内体制を整える提案を持ちかけ情報交換を始めたりと、具体的なアクションを実行中です!
12月中に、優先度「高」とした施策を完了させ、6.効果測定しながら運用へと移る想定。年明け以降、今回の仮説がどのような成果に至るのか…どきどきです。
プロセスを変えて、感じること
短期視点なプロセスを選ぶべきフェーズもありますが、チームの成長や取り扱う課題に合わせられるよう「プロセスの選択肢」を持つことが重要かもしれません。
実態に細やかに寄り添った施策が生まれた
優先度「高」に該当するアクションの中には、組織体制や仕組みを見直すべき項目も含まれており、他サークルとの連携も重要な任務であると認識できました。
事実調査の際に、候補者からの質問だけでなく、面談担当者の「やるせなさ」「やりづらさ」にあたる所感を聞かせてもらえたことが、本当に必要なアクションの抽出に繋がったと感じます。
"実行"そのものは目的ではない
当たり前のことなのですが…。
いつだって本当の願いは「ispec事業で活躍してくれる方を採用したい」のはずが、いつの間にか手段であった「候補者対応をする」「記事を作る」「スカウト送る」…などが目的にすり替わっていたかもしれません。
施策ができて→活用されて→良いコミュニケーションが叶って→採用 / 内定承諾の判断がついて→やっと…ispec事業で活躍してくれる方を採用できる!…という真のゴールを見失わないためにも、"成果"を定義したいです。
"質でスピードを生む"バディのバカでかさ
前提に戻りながら議論する大切さを、間近で教えてくれたのは、同じ採用チームのCTOやEMでした。
油断するとすぐにhowへ突っ走りそうなところ…議論のバディとなった彼らが「これってどんな経緯でしたっけ?」「この意図は多分こんな感じでして…」「そもそも何を求めたいんだっけ?」と…why寄りの問いかけをくれるシーンが幾度とあり、ハッとさせられました。
プロセスの"質"にこだわることが、結果的に採用までのスピードを高めると信じ、whyとhowをいったりきたりする時を惜しまないようにしたいです。
ボリューミーな”日記”になってしまいましたが……最後までお読みいただき、ありがとうございます😭
明日は、みよしさんのAdvent Calendar 7日目!お楽しみに!🌟