『バーナテッド ママは行方不明』リチャード・リンクレイター~南極への旅立て!~
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リチャード・リンクレイター監督は、少年を12年間かけて撮影した『6才のボクが、大人になるまで』が有名だが、ジャック・ブラックの『スクール・オブ・ロック』、『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』、『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』、『30年後の同窓会』など、私も好きでよく観ている多作な職人監督である。さて、本作もケイト・ブランシェット主演で話題になった去年公開作品だが見そびれており、やっとWOWOWで観ることが出来た。
ケイト・ブランシェット演じるバーナテッドは若き天才建築家として名を馳せたが、結婚して夫と暮らすうちに専業主婦になる。極度の人間嫌いで引き籠もりがち。近所の人たちとのトラブルも耐えない。IT企業に勤める夫(ビリー・クラダップ)と娘(エマ・ネルソン)と暮らしていたが、バーナテッドのストレスは限界に来ていた。娘の中学卒業祝いで家族で南極旅行を計画するが、バーナテッドは旅行中に船で他人と一緒にいること自体がストレスだと感じていた。そんなとき、ある事件をきっかけに、家出するようにして一人南極へと旅立ってしまう。そして、それを知った夫と娘がバーナテッドを探しに南極へと追いかけるのだった。
ケイト・ブランシェットの女優としての力が遺憾なく発揮されている映画だ。芸術家肌で人嫌い。近所の人たちから見れば、ヒステリックで困ったちゃん。そんな問題アリの独特な女性を魅力的に演じている。人との関係が不器用でトラブルばかり。精神的に不安定な女性だが、独自の世界観を持っており、その創造性を活かすことが出来ないジレンマ。人生をもう一度やり直すことが出来ることを力強く応援するような映画だと言える。特にご近所やママ友同士のトラブルが誰にでもあるだろう。氷山と海に囲まれた南極旅行という突飛な変化が効果的だ。思い切った一歩を踏み出すことが変化のキッカケになる。
2019年製作/108分/G/アメリカ
原題:Where'd You Go, Bernadette
配給:ロングライド
監督:リチャード・リンクレイター
製作:ニーナ・ジェイコブソン、ブラッド・シンプソン、ジンジャー・スレッジ
製作総指揮:ミーガン・エリソン、ジリアン・ロングネッカー、マリア・センプル
原作:マリア・センプル
脚本:リチャード・リンクレイター、ホリー・ジェント、ビンス・パルモ
撮影:シェーン・ケリー
美術:ブルース・カーティス
衣装:カリ・パーキンス
編集:サンドラ・エイデアー
音楽:グレアム・レイノルズ
キャスト:ケイト・ブランシェット、ビリー・クラダップ、エマ・ネルソン、クリステン・ウィグ、ゾーイ・チャオ、ジュディ・グリア、ローレンス・フィッシュバーン、ジェームズ・アーバニアク、トローヤン・ベリサリオ