![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/152902978/rectangle_large_type_2_f585e178f2b8a67fbad6c47e7036b31d.jpeg?width=1200)
『サブウェイ123 激突』トニー・スコット~限られた時空間で対峙する二人の男のサスペンス~
トニー・スコット監督ということで観た。『マイ・ボディーガード』でもデンゼル・ワシントンとコンビを組んでいるトニー・スコット監督だが、『アンストッパブル』や『デジャヴ』、『クリムゾン・タイド』などでもデンゼル・ワシントンを使っている。この映画は、まさにデンゼル・ワシントンの魅力が詰まった映画だ。1974年製作のサスペンス・アクション『サブウェイ・パニック』の再映画化。
ニューヨークの地下鉄ペラム123号を乗っ取るという犯罪サスペンス。犯人グループは1時間の間に乗客を人質に身代金1000万ドルを要求する。地下鉄運行指令室に勤務するガーバー(デンゼル・ワシントン)は、犯人(ジョン・トラボルタ)からの無線を受けたことから、そのまま交渉役を務めることになる。1時間という限定された時間、地下鉄と地下鉄運行司令室との限られた空間でのやり取りを軸にサスペンスが展開する。サスペンスが限定された時空間であるために、密度が濃いのだ。『アンストッパブル』もそんな密度の濃いサスペンスアクション映画だったが、この映画はアクションというよりも犯人とガーバーとの会話のやり取りが中心となる。
最初は犯人と地下鉄運行司令室のいる人間の「声」を通じたお互いの関係から始まり、その「声」を頼りに犯人はガーバーを信用する。仕事上で賄賂の嫌疑をかけられ、「弱み」を持つガーバー。さらに愛妻家である普通の夫である側面もまた魅力的に演じている。犯人との交渉役となり、直接現金を届ける役目を担うことになったガーバーが妻に電話をする場面で、妻から「大きめの牛乳パックを帰りに買ってきて。小さいのじゃダメよ」と言われる場面は秀逸。ガーバーは、まさに妻との「牛乳を買って帰る」という目的を果たすために、犯人と命懸けで対峙する。
ニューヨークの街を、地下鉄を、ヘリで空中から地下の線路へ、無人で暴走する車輌、さらに地上へ出ての車の追っかけから、歩いて橋の上へと展開する追跡劇を、テンポ良く巧みな編集で見せていく。そして最後のデンゼル・ワシントンとジョン・トラボルタが橋の上で生身の姿で対峙するのをじっくりと見せる演出。コンパクトな時空間で見事に盛り上げ、人と人とが運命の出会いをして対峙するサスペンスを、誰もが楽しめる映画に仕上げている。
2009年製作/105分/アメリカ
原題または英題:The Taking of Pelham 123
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
監督:トニー・スコット
製作:トッド・ブラック、トニー・スコット、ジェイソン・ブルメンタル、スティーブ・ティッシュ
製作総指揮:バリー・ウォルドマン、マイケル・コスティガン、ライアン・カバナー
原作:ジョン・ゴーディ
脚本:ブライアン・ヘルゲランド
撮影:トビアス・シュリッスラー
美術:クリス・シーガーズ
編集:クリス・レベンゾン
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
キャスト:デンゼル・ワシントン、ジョン・トラボルタ、ジョン・タトゥーロ、ルイス・ガスマン、ジョンソンマイケル・リスポリ、ラモン・ロドリゲス、ジェームズ・ガンドルフィーニ
いいなと思ったら応援しよう!
![ヒデヨシ(Yasuo Kunisada 国貞泰生)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/143704090/profile_f62e82407632d4c01ab7c2e2bc980167.jpg?width=600&crop=1:1,smart)