介護記録① 認知症の父の車両運転を止めさせた話
一個人の家族介護の経験ですが、誰かの何かの役に立つこともあるかと思い記録として残すことにしました。
父は後ほど血管性認知症(MMSE13点)と診断されましたが、診断前には普通に車両運転をしていました。もともとドライバーの仕事をしていた父は運転に自身を持っており、運転は日常生活にも必須でした。
私も父と接する中で、話の異常な繰り返しや日時等の食い違いを感じていましたが特に認知症とは思わず過ごしていました。
ある日父の運転する車の異常な凹みを見つけた際は「もしかして認知症?、それならまず車の運転を止めさせなければ・・・」と思いました。凹みも日に日に増えていっているように感じ(何故凹んでいるか聞いたらぶつけられたといいます。自分がぶつけても覚えていません)、一刻の猶予もないと感じたため私もすぐに行動に出ました。
まず私が車を借りるからカギを貸してもらい、そのまま返さないということをしました。そして同時にかかりつけ医に認知症専門病院への紹介をお願いしました(当時認知症の診断はありませんでした)。認知症専門病院受診に当たっては、「高齢者運転技能検査を含むものなのでそれまでは運転禁止と言われている」と納得させるためにウソを言いながら過ごしました(認知症専門病院受診まで1ヶ月以上かかりました)。
当然その間の父の抵抗は激しかったです。泥棒扱いもされました。もう勝手ながらですが、医師の診断結果を待たなければならない、警察の方針でもあるとかなり無理な言い訳で凌いでいました。その間はもちろん買い物等のフォローが必要でした。
そして、専門医療機関の受診日が訪れ、認知症と診断され専門医から車両の運転は止めるようにとの言葉も頂きました。只そのような診断も忘れてしまいますので、医師の許しを得て、診断内容と車両運転の禁止の旨を文書として作成し本人に渡し、またコピーを壁に貼り付けて等、しっかり理解させるようにしました。車両はすぐに車検や売値等の理由ですぐに売却の手続きをしました。売却の引き取りまでの期間も「カギを渡せ、運転させろ」と言われましたが、「今持ってないので・・・」等適当に逃げながら過ごしました。
そして無事売却、車も無くなったので運転はできませんが、免許はまだ残っています。父も一時は「また車を買えばいい」と言っていましたが、「(車の購入は)もう少し体調がよくなったらでいいのでは・・・?」で過ごしているうちに言わなくなってきました。
運転を止めさせるために本人を騙すようなこともしています。認知症の難しいところは本人の自覚がないということです。本人意思の尊重と疾患上の問題が折り合わない中、自分自身とても辛いことでもありました。本人の意思を無視したとも、守ったともいえます。説得に時間がかかるとその間に事故の可能性が増します。
自分の行動が正しいかは分かりませんが、なんらかの参考になればと思います。尚、自身の経験ですが、高齢者運転車両の凹みが多いケースでは認知症の可能性が高いように思います。また、警察等はそのようなケースにとても協力してくれるようですので相談してみるのもいいかと思います。