バフィンを追って
今回はかなり個人的な思い入れだけのお話なので皆さんに読んでいただけるか不安ではありますが・・・
動物園というのは昭和の娯楽施設という印象で、今どきのテーマパークなんかと比べると地味な感じがすると思うのですが、手軽に生き物の多様性を見ることのできる場所としてたまに行ってみることをお勧めしたい場所ではあります。
シロクマの赤ちゃん
今を去る10年前の事。天王寺動物園にいたシロクマの「バフィン」が赤ちゃんを出産したというニュースを聞きました。
「バフィン」は最初海外の動物園から浜松市立動物園にやって来たシロクマだったそうですが、繁殖のために天王寺動物園にやって来た結果、見事に子熊を授かったという事だそうです。
日本でシロクマの赤ちゃんが生まれるのは珍しいことだったようで割と大々的にニュースとして取り上げられていたのを覚えています。
その2年後の2016年。生まれた子供のシロクマ「モモ」と一緒に浜松に戻るというのニューズが出回ったので、一度天王寺動物園に「バフィン」と「モモ」の親子を見に行ったのです。
一度完全に忘れていた
「バフィン」は「モモ」を出産した2016年の時点で22才とシロクマとして高齢な方だったそうで、実際元気に泳ぎ回る「モモ」に対して「バフィン」は陸地の部分からあまり動かないことが多かったのですが、それでも軽自動車一台はありそうな巨体は迫力があり、存在感はかなりなものでした。
それからほどなくして、「バフィン」と「モモ」は浜松に帰っていき、自分もシロクマに対してそこまで強く関心があったわけではなかったので、一旦完全に忘れ去っていました。
ただ、自分の中でバフィンとモモ帰っていった浜松の町は過去に住んでいたことのある思い出の町であったので、何かの機会があればまた行ってみたいと思っていたのですが、なかなか機会がないままに年月だけが過ぎ去っていきました。
まるで自分の存在もなかった事のように・・・
「バフィン」は「モモ」を出産した時点ですでに高齢と言われていました。2024年の今では30才。行く先はそれほど長くはない・・・と今回最優先で浜松へ行くことを決定してバフィンに会いに行きました。
久々に訪れてみた浜松の町は、その町のシンボル的な存在であるアクトタワーや浜松城などはそのままに存在していたものの、自分が住んていた頃に存在した社員寮として使われていたアパート・・・というか会社そのものがなくなっていたようで自分の身の回りにあったもののほぼすべてが消え去っていました。
浜松に到着したのが午後だったこともあり、バフィンにも直接会う事は出来ませんでした。動物園側が展示していた写真でかろうじてその姿は確認できましたが、写真で見るだけでも天王寺にいた頃に比べて年を取ったんだなという印象は受けました。
そんなこんなで、まるで自分の存在そのものが消え去っていくような感覚を覚えた今回の旅だったのですが、浜松に住んでいた当時によくやっていた、得な目的もなく浜名湖湖畔を車で一周するというのをやってみると、特に意味のある行動でなくともその楽しさはあの頃のままで、そのことが確認できただけで久しぶりに浜松に来てよかったなと思えたのでした。
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