第47回:ムスリム女性の活躍
2023年5月31日掲載
先日、私はオンラインで開催されたWIEF(1 World Islamic Economic Forum Foundation=世界イスラム経済フォーラム)内のパネルディスカッションに登壇しました。このフォーラムはマレーシアのクアラルンプールに拠点を置く同団体が毎年開催しているもので、今年は「#iEmPOWER Women Drive: A Way Forward in Halal Economy(ハラール経済における女性の進展:未来への道)」をテーマに、ムスリマ(女性イスラム教徒)起業家について議論されました。そこでどんなことが語られたのか、今月はその一端をご紹介します。
■イスラム経済イベント
パネルディスカッションのモデレーターはシンガポール人女性(ジャーナリスト)、パネリストはインドネシア人女性(大学教授)、スペイン人女性(教育機関)、そして私です。なぜ男性である私が招聘(しょうへい)されたのかは聞けずじまいでしたが、ディスカッションはコロナ禍を経て再び動き出した各国の経済とムスリマ起業家との関わりについて意見交換されました。
図は当日参加した聴衆の国別と従事している業種の内訳です。参加者はマレーシア、インドネシアが多数でしたが、アフリカ諸国や欧州からの参加者もおり、ムスリマの地位向上や厳しい経済環境下での起業、ネットワーク構築などについて活発な質疑が展開されました。
■各国女性の活躍
インドネシア人の登壇者によると、同国には6,400万社の事業体が活動しており、その90%は零細企業で、そのうち64%は女性が事業オーナーであるとのこと。業種は食品関係を筆頭に、化粧品、ファッション、伝統工芸といった分野で活躍しており、自国国内総生産(GDP)の60%に影響を与えているとの試算が発表されました。これには私も賛同するところがあり、「例えば家族で考えると、旅行先を決めるのは誰か。母親でしょう。彼女たちはどうやって旅の情報を得るのか。SNSの女性インフルエンサーからでしょう。これだけでも女性が持つ経済的影響力が大きいことがわかる。」と指摘しました。
一方スペインでは、同国に在住しているムスリム(イスラム教徒)は約200万人で、多くは食品業と観光業に従事しているとのこと。同国はフランスに次ぐ観光大国であり、ムスリマは中東や北アフリカといった近隣ムスリム諸国からの旅行者対応に活躍しているそう。この辺り、同じムスリムマイノリティー(少数派)である日本は学ぶ点があるのではと感じました。
■日本在住のムスリマは教育面でも活躍
私は日本では、特に観光と教育の分野でムスリマの貢献度が高いと指摘しました。具体的な例として、日本人の夫および娘と日本に住むインドネシア人女性を挙げました。彼女は日本企業に勤務する傍ら、SNSで日本の旅の情報を発信しているマイクロインフルエンサーでもあります。彼女の投稿には時には100件近いコメントが寄せられることもあり、小さいながらもそのコミュニティー内では大きな影響力を持っています。加えて、在住している自治体の多文化共生アドバイザーにも任命されており、グローバル教育の一端を担っているのです。
人口減少による人手不足に悩むのは、今や地方都市だけでなく大都市も同じです。ディスカッションで私は「日本はまだハラールを学んでいる途上にある。人材不足でこれからムスリムをはじめとする外国人居住者も増えるだろう。ムスリマ起業家にはこれを商機と捉えて欲しい。一緒に日本をグローバル化させましょう。」と述べました。日本がスペインのようにムスリマによるムスリム対応が普及し、インドネシアのように女性起業率が増えることを願ってやみません。
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