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「レトロ・モダン・おしゃれ 杉浦非水の世界」ヤマザキマザック美術館

■会期:2023年10月27日~2024年2月25日
■会場:ヤマザキマザック美術館(愛知県名古屋市)


案内チラシ

●杉浦非水(スギウラ ヒスイ)について


愛媛県松山市出身。東京美術学校日本画科を卒業。師として仰いだ黒田清輝がフランスから持ち帰ったパリ万国博覧会の絵葉書や史料等によって、アール・ヌーヴォーのデザインを知る。多摩美術大学の初代校長。
三越、鉄道、装画、パッケージなど商業におけるグラフィックデザインの先駆者として知られている。
(パンフレットより要約)

 ポスターが多く展示されている部屋をぐるりと見渡し、第一印象。
「日本のミュシャ!」
大胆な構図、少ない色使いで構成されておりポスターらしいパッと見て印象に残る作品ばかりだった。

「1908(明治41)年32歳の時、非水は中央新聞社に勤務する傍ら(中央新聞社は1904年に退職)、三越呉服店に務めるようになる。翌1909年4月からてがけたのが、広報誌『みつこしタイムス』の表紙デザインで1911(明治44)年1月からは新発行の広報誌『三越』の表紙デザインも担当
【パンフレットより引用】

案内のチラシより


描かれているものはしぼられているにも関わらず、現代の雑誌の表紙とはまた違ったスタイリッシュさがある。三越内の広報誌で(おそらく)制約や必要なキャッチコピーも限られているからこそ可能なことだと想像するが、大胆に完結しているところがかっこいい。

『みつこしタイムス』の表紙デザインをいくつか検索していただきたいほどどれもが素敵でモチーフのレイアウトや余白のバランスが素晴らしい。
季節の花や生きものやときに何気ない日常の一瞬が描かれた表紙が順に展示されている様子はさながら花札のようだった。

 そして非水は写生に重きを置き幼い頃から夢中になって描き続けていたという。その観察眼あってこその説得力も伝わってくる。こうした季節ごとや月ごとに発行される雑誌は、現在ではモチーフや配色が一辺倒になっているような気がして少々つまらなく感じてしまうこともあるのだが、非水の作品にはわざとらしい季節感というものは感じられずとても心地よく鑑賞することができた。
季節を連想する自然(昆虫や草花)が現在よりももっと豊かで、それが一般的な感覚として根付いていたことがうかがえる。そして「図案は自然の教導から出発して個性の匂ひに立脚しなければならぬ」という彼の言葉のようにただモチーフを描くだけではなく、それを自分のなかで解釈し再構築してこそデザインが出来上がるのだと考えていたのではないだろうか。

●ヤマザキマザック美術館について

創立者であり初代館長でもある山崎照幸が蒐集した18世紀から20世紀に至るフランス美術300年の流れを一望できる絵画作品、及びアール・ヌーヴォーのガラスや家具等のコレクションを所蔵・公開している。
(公式HPより引用)

地下鉄東山線の新栄町駅が近づくと毎回車内放送で「ヤマザキマザック美術館」の案内が流れその存在は知っていたのだがやっと今回始めて訪れることができた。

美術館といえば、作品の劣化を避けるためや絶えず様々な展覧会が行われ入れ替わりが激しいので薄暗く、少々殺風景ともとれる空間の場合も少なくないが、コレクションが展示されている5階は展示されているロココ調時代の絵画にふさわしい立派なソファが設置されていたり、天井にはシャンデリアが吊るされていたりなど絵画の時代にタイムスリップしたような特別な感覚を抱くことができた。

📸撮影可能の作品で気に入ったもの

クロード・モネ(タイトル書き留めていなかった)


アルベール・マルケ《パリ、ルーヴル河岸》1906年

▲構図が気になった。

アンドレ・ドラン《プロヴァンス地方の村》1930年

▲こうした同じ色相の中で明度彩度を調整するのがわたしは得意ではないので、こうした微妙な色はどうやってつくるんだ…としばし感動。


▲イラストレーションのようですき。作家の名前忘れちゃった…


エドゥアール・ヴュイヤール《書斎にて》1927-28年

わたしがすきな画家のひとり。
別の展覧会のときに見た彼の作品はもっとモネに近い抽象画だったので、こうした作風も描いていたんだなと勉強になった。
構図が難しすぎてアイレベルはどこ!?消失点はいくつ?!としばらく眺めていたけれどさっぱりすぎた。
素晴らしすぎる。

部屋の壁などよく見ると手描きならではの揺らぎが見えるのだが、絵としてまったく崩れておらず淡い思い出のような印象が伝わった。

■ヤマザキマザック美術館公式HP


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