祇園祭に落涙 後祭〜宵山と山鉾巡行
初めての祇園祭
神戸に住んでいて、京都は身近な行き先だ。ただ、近いだけに宿泊したのは2回だけ。今回は定年退職をして気持ちにゆとりがあったので、祇園祭に泊りがけで行ってみようと考えた。祇園祭をネットで調べてみると、山鉾巡行の観覧席の販売が行われていた。後祭の座席が残っていたので、申し込む。座席はランダムに割立てられるようだが、スタート地点近くのブロックで幸運にも1番前になった。4100円だ。発券はファミマで行う。
ホテル予約
チケットにはスタート地点に近いため、9時には座席に着くように要請されていたので、少しでもゆっくりできるよう、近辺のホテルを探す。Booking.comで座席と同じブロック内のホテルを確保した。ホテルギンモンド京都だ。
京都へ
お昼頃に家を出る。阪急四条烏丸で地下鉄に乗り換え、烏丸御池で下車する。途中十三で阪急電車の「京とれいん 雅洛」を初めて目にする。予約も特別料金も一切なしの快速電車で大阪梅田と四条河原町を1時間に一本走っている。下の画像ではわからないが、内装が素晴らしく、機会があれば是非一度乗ってみたいと思っている。
宵山
烏丸御池からホテルは歩いてほんの2、3分。ちょうどチェックイン開始時間だった。一旦落ち着いてから、宵山の雰囲気を味わいに出かける。前日まで宵山と言われてもピンと来なかったのだが、各町内で組み立て、準備している山鉾と、その御神体や飾り付けなどが見学できるらしい。また、その近所には屏風などの立派な宝物を一般の人に公開している所もある。後祭(あとまつり)では11の山と鉾が巡行するので、その11箇所を回ることにする。全部合わせても2時間程度あれば見て回れる。
11の山や鉾はそれぞれに歴史や由来がある。地域の人たちが、総出で準備にかかっている様子が伺える。若い人たちも、案内や縁起物の粽などを売ったり、朱印を授けたりと忙しい。子供たちも、祭囃子の練習をしている。流石に日本三大祭りと言われるだけあって、気合の入れようは相当なものだと肌で感じた。明るいうちにでひと通り見学を終え、シャワーと休憩をしにホテルに戻った。
京都なのになぜだかフレンチの夕食
夕食も「ピエールプレシウーズ」を予め一休レストランで予約した。ホテルの近くでコース料理、飲み放題付きで5000円に惹かれての予約だ。京都なのに和食ではなくフレンチ。それも還暦の男性おひとりさまでフレンチ。案の定、周りは若い女性ばかり。男性は他には家族連れのお父さんらしき人のみであった。ただ、肩肘張らないカジュアルなお店で、内容も量も満足。「風呂上がり」の生ビール、スパークリング、白、赤、最後に烏龍茶と飲み放題も堪能した。周囲の皆さんも楽しげで、その明るい雰囲気が心地よかった。
幻想的な夜
食後には再度山鉾を見に行く。昼間とは違って、夜に浮かぶ灯りと祭囃子の音色が幻想的だ。夏の夜空に「コンチキチン」という音を響かせて、子供たちがそこらを練習で練り歩く。そんな祭りにかけるエネルギーに感化され、こんな素晴らしいものがすぐ身近にあったにも関わらず初めて味わう余裕ができたことに思いを寄せていると、酔いも手伝ってか不覚にも落涙した。いろんな感情がないまぜになり、言葉ではうまく言い表せない感情が押し寄せてきた。そうこうするうち、店じまいをする山鉾も出てきたので、翌日に備えて退散する。
山鉾巡行
翌朝ホテルにキーを預け、9時に座席に着く。いい天気で日差しが強いので熱中症対策が必要だ。主催者もスポーツドリンクのパックをカチカチに凍らせたものを配ってくれる。甲子園のカチワリ同様、体を冷やすのに使える。手拭いの真ん中にくるんで、ちょうど後頭部にあたるように首に巻いて涼を取った。
11基の山鉾が目の前を通り過ぎる。宵山では見られなかった飾り付けされた山鉾、それに裃をつけて前を歩く人、山鉾を引く人、上に乗って舞う人、祭囃子を奏でる子供たち。大きな掛け声、祭囃子の音、その完成された姿が山鉾巡行だ。動く美術館とも言われ、ユネスコ無形文化遺産のこの山鉾巡行、美しさも圧巻だ。
1時間20分程度で11基すべての山鉾の鑑賞を終えてホテルに戻る。スタート地点に近かったので短時間済んだし、ホテルも近かったため戻ってシャワーを浴びて11時前にチェックアウトすることができた。チェックアウト後も通りの先にまだ山鉾が見える所にあったので、市役所前まで「辻回し」を見に行った。掛け声と共に少しずつ方向を変える。その度に観衆から大きな拍手が上がった。
帰途へ
何年ぶりかに京都に宿泊し、宵山と巡行を初めて経験した。疲れも心地よく、帰りの電車では何度か寝入ってしまった。久しぶりに「本当感動した」と言葉にして言う体験ができた。これからもこのような機会を持ちたいと願っている。