一冊の本に愛を乗せて。
あなたが選んだ一冊が、子どもに笑顔をもたらすかもしれない。
あなたが選んだ一冊で、思い出に残るクリスマスになるかもしれない。
そんな可能性を秘めている「ブックサンタ」は、様々な困難によって体験格差を抱える子ども達に本を贈るプロジェクトだ。
NPO法人チャリティーサンタが「子ども達に愛された記憶を残すこと」を願いとして「子どものために大人が手を取り合う社会」の実現をのために活動を行っている。
小学校の先生として過ごす中で、いわゆる「貧困家庭」の子どもたちにも出会ってきた。
中にはプレゼントや本を買ってもらえないなど家庭での体験格差によるさみしさを抱える子もいた。
詳しくは去年書いたこのエッセイに↓
担任していたクラスに、クリスマスにサンタが来ない子がいた話↓
しかし先生という立場から物質的に、彼らを支援することは難しく、やるせない気持ちになっていた。
だからこそ昨年、この「ブックサンタ」の存在を知ったとき、子どもたちにとって、1年間の中でも重要な意味を持つクリスマスに、心を豊かにする本を贈る、なんて素敵なプロジェクトだろうと思った。
寄付された本は、初年度の2017年度で848冊、そして7回目である去年度は128898冊。
書店のポスターやネットでの告知を見て、活動に賛同する人々が年を重ねるごとに増えたようだ。
本の数は子どもたちへの愛の数であり、彼らの未来に関心を寄せる人が多数いるということ。何かと暗いニュースが飛び交いがちな世の中でも、1つの数値として表れた明るい未来への指針である。
半年ほど前に、NPO法人チャリティーサンタの代表の清輔夏輝さんとお話をする機会があった。
「本を寄付していただける方が増えたことは有難いのだけれど『うれしい悲鳴』だ。」とおっしゃっていたので、詳しく伺ってみた。
膨大な数の本を一定期間、保管しておくにはそれなりの場所を確保する必要があるそうだ。また、地域ごとに本を振り分けたり、梱包したりといった人手や物資も必要となる。
集まった本の数に対して必要な活動資金や人が不足してきているそうだ。
本を贈る人が増える=幸せな子どもが増える
実際に運営側の話を聞き、その方程式は間違いではないけれど、そう単純な話でもないのだ、と痛感した。
寄付される本の数と比例して、使えるリソースが増えなければ、折角素敵なプロジェクトも立ちゆかなくなってしまうかもしれない。
ちなみに本は、ボランティアが扮したサンタや郵送によって届けられたり、全国の約300のこども支援団体や施設を通じて届けられる。
今年は能登半島地震で被災した子どもたちへも本が届けられるそうだ。
サンタの訪問では、事前にスタッフが親御さんに普段我が子が頑張っていることや、伝えて欲しいことをヒアリングした上で、本と共にそれらの言葉も贈るのだという。
子どもたちにとって特別な存在であるサンタからのプレゼント。きっと忘れられないクリスマスになるだろう。
しかし、家庭からの応募に対して訪問できるサンタは限られている。全国2000人という数字を目標としているそうだが、去年度のボランティア数は1691人と届かなかったと聞いた。
また、地方はなかなか集まりづらいという現状もあるそう。ボランティアの継続的な活動の参加もこの「ブックサンタ」の継続に直結しそうだ。
先月に子が生まれ、今年は難しそうだけど、いつかお馴染みの赤白の衣装に、髭、を身につけ、青いカラーコンタクトにお爺さん風メイクとサンタになり切って実際に子どもたちに本を届けたい。
考えるだけでわくわく心が浮き立つような、わたしの夢の一つである。
ちなみに、希望する家庭の数に対しサンタが足りなかった地域には郵送で届けられる。
想いを込めて選ばれた本、折角なら言葉のプレゼントとともにサンタに届けてもらえたらいいなあ。
子どもたちのために書店で本を選ぶ人、サンタに扮して届ける人、活動資金を応援する人、準備を行う人、今年もまたクリスマスまでにたくさんの大人が動くのだろう。子どもたちの幸せを願って行動する大人は皆、サンタなのだ。
****
12月も半ばを過ぎ、あちらこちらでクリスマスにまつわる商品が並び、イルミネーションが輝き、街は一層クリスマスの気配を濃くしている。
先日、今年もわたしはそんなサンタの1人になった。
これまで長く読み継がれ、そして子どもたちが今後生きてゆく上で何かきらりと光るものを残すかもしれない物語を数冊選んだ。
どんな子が手に取るのかなあ。
何度もページをめくってくれたらいいなあ。
そんなことを考えていると、自ずと口角が上がってくる。誰かを喜ばせる幸せというのは、結局自分の幸せと繋がっていることは言うまでもない。
そして、この素敵なプロジェクトがこの先も続くように心ばかりの支援を。(ホームページから支援できて、わざわざ銀行に行って振り込まなくていいから楽だった…!)
クリスマス当日、本を介してよりたくさんの愛と想いが飛び交うことを願う。
愛を知った子は、いつかまた誰かにそれを手渡すことができると信じている。
どうかこの先も末永く、優しさや愛がこの世界に循環していきますように。
#クリスマス #本 #ブックサンタ