今週の読書 6/23「テレーズ・デスケルウ」
引き続き、「テレーズ・デスケルウ」。
世間で言われている幸せや、当たり前の道が、はたして自分にとっての幸せなのか。そんなことも問われているような気がする。個人として自由になる、自分の道を進むという物語でもある気がする。
時代設定は古いけれど、今読んでもそんなに古い気はしないのはそういう心情が昔も今も変わらないからだと思う。日常の中に散りばめられるテレーズの目を通した風景はとてもリアルだ。そこから感じるテレーズの心情も、現代の私たちにもリアルに感じられると思う。
モーリアックに遠藤周作というとキリスト教のようなイメージがあるけれど、ここではそれはあまり感じない。むしろテレーズは罪を犯しながらも、それを公には咎められず、ある種の罰のようなものは受けはするのだが、そこにあまり反省のようなものはない。テレーズがミサに出たりはするのだが、神にすがるということもない。
私自身は無宗教で、キリスト教のこともあまり知らないので、この作品に流れるキリスト教的なものというのには気づかないせいかもしれないが、テレーズにあまり信仰心は感じられない。こういう作品をモーリアックが書き、遠藤周作が惹かれ訳するというのもこの本の面白さの一つなのかもしれない。
なんというか、小説の感想は書きにくい。もう少し読み深めたいと思う。