2020/9/28 日本人は「真心」を捨てて「契約」を取ることができるか
川島武宜先生の日本人の法意識を読んでおります。
批判はあるようですが、私はとても良い本だと思います。
さて、この本ですが、「日本にジョブ型雇用が定着するか」考える上で、
多くの示唆が与えられました。
そもそも日本の法制度的にも、過去から受け継がれている感性からも、
日本ではメンバーシップ型の家父長制的雇用形態の方があっているはずなのです。
しかし時代がそれを続けさせてはくれないので、
真剣にジョブ型雇用について検討しなくてはいけません。
本書から、ジョブ型雇用を安定して運用するためにはいくつかの条件があるように考えられました。例えば以下のようなものです。
1.法制度の大規模な整備
2.法律・契約の"厳密な"運用
3.義理人情よりも約束(契約)を優先させる風土
他にも色々ありますが、ともかく
約束を果たそうと「真心をこめて頑張った」ことに価値はなく、
「約束を果たす」ことに価値が置かれるような時代になります。
就職先を選ぶ上でも、双方の権利と義務が最も重要な検討事項になる、
そのような双方の価値観の転換が起こることが最も重要だと考えます。
もはや働く上で、真心、とか、義理人情、とかに価値はありませんし、
一生懸命働いたり、同僚上司に気を使うことに価値は生まれません。
労働者は約束(契約)した仕事をする以上の価値を持たなくなりますし、
会社も約束(契約)した給与を支払う以上の価値を持たなくなるでしょう。
そして、番頭さんと丁稚がいなくなるのです。