女子会

「私は今夜女子会だから、あなたは自分で何か食べてね」

そう言って妻がうれしそうにでかけて行った。
ここ10年ほどの間にウエストがゴムのスカートか、身体のラインを覆い隠すざっくりとした、丈の長いワンピースしか着なくなった52歳が1ミリの躊躇もなく堂々と“女子”を名乗る。

「うん、何かテキトーに食べるよ」
そういう俺もいつのまにか、若干空気が漏れて張りをなくした浮き輪が胴にぐるりと巻き付いている。
かと言って、溺れてもこの浮き輪で助かる気はまるでしないけれど。
それにしても、世の中のまあまあな大人の女性たちはいったいいつからあんなに堂々と自分たちを“女子”と言うようになったのか。
俺は男子校出身だけれど、同級生達と飲みに行くことを男子会とは言わないよな。
中学生の時、女の子が3人で1冊のノートを回して交換日記というものをしているのを見た。
毎日学校で会っているのにわざわざノートにいったいどんなことを書いていたのだろう。
まるで機密文書でも渡すように、そのノートはさりげなくささっと手を渡り、受け取った方も決してその場で開くことはなく、鞄にしまわれた。
絶賛自意識過剰中だったあの頃、ひょっとしてそこにハートマークとともに自分の名前が書かれていたりするんじゃないかとドキドキしていたけれど、結局誰からも告白もラブレターも貰うことはなく、学生服のボタンも全部揃って無事に卒業を迎えた。
女子会にでかけて行く妻の後ろ姿を見送って、あの頃の同級生の女の子たちを思い出していた。

週末、母の顔を見にお世話になっている施設へ行った。

「あらユキちゃん、かわいい♪」
ほんのりと口紅を塗ってもらって、うれしそうに鏡をのぞきこんでいた。
「ユキちゃん、ほら息子さんたちが来たよ」
桜色のくちびるがにっこり笑って、母が手を振った。

【フルーツピクルス】

★いちご
=材料= (500mlの瓶)
いちご　　250g

りんご酢　150ml
水　　　　150ml
バニラビーンズ　4〜5cm

バニラオイル　5〜6振り
はちみつ　大さじ3

=作り方=
1.りんご酢、水、バニラビーンズを鍋に入れて一煮立ちさせてから、はちみつとバニラオイルを入れて冷まします。
2.いちごを洗ってヘタをとり、水気を拭いて瓶に入れ、冷ました1を注いで冷蔵庫で一晩寝かします。

★グレープフルーツ
=材料= (250〜300mlの瓶)
グレープフルーツ　1個

白ワインビネガー　100ml
水　　　　　　　　100ml
バニラビーンズ       4〜5cm

はちみつ　　　　　大さじ2
バニラオイル　　　4〜5振り

=作り方=
＊液の作り方はいちごの場合と同じ。

グレープフルーツの皮をむいて瓶に入れ、冷ました液を注いで冷蔵庫で一晩寝かします。

ピクルスとはいえ、それほど日持ちはしませんので2、3日で食べ切るくらいが良いです。

可愛いおつまみに今夜もごきげんです。