鹿目コタロウ

『フロム52! 』という物語を書いています。 /舞台は東京都・三鷹市にあるシェアハウス。そこで毎週水曜日の深夜に配信しているラジオ『フロム52! 』 を中心に描かれる、クリエイターたちの日常と葛藤の日々を書きます。(不定期更新)

鹿目コタロウ

『フロム52! 』という物語を書いています。 /舞台は東京都・三鷹市にあるシェアハウス。そこで毎週水曜日の深夜に配信しているラジオ『フロム52! 』 を中心に描かれる、クリエイターたちの日常と葛藤の日々を書きます。(不定期更新)

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【小説】『フロム52! 』 - 52Hzで配信中(1章・0話/プロローグ)

「届くといいな、誰かに」 時刻は深夜0時、風呂上がりで濡れた髪をヘアゴムで雑に結んだ鯨津 瓜(ときつ・うり)は、目の前に置いたマイクに向けて呟く。 マイクが拾った声は、Instagramで作ったばかりのアカウント「フロム52! 」からライブ配信されている。ただし、フォロワーは0人、視聴者数も0人だ。 「時刻は12時をまわりました、東京・三鷹市の自宅をキーステーションに、Instagramで配信中。鯨津 瓜の『フロム52! 』、初回放送です」 深夜に響く声が心地良い。換

    • 【小説】『フロム52! 』 - 小説家・悦人(1章・第3夜)

      「ぱっ、ぽっ、ぱっ……ぺーん! えー、時刻は12時をまわりました、東京・三鷹市の自宅をキーステーションに、Instagramで配信中! 鯨津 瓜(ときつ・うり)の『フロム52! 』。今回のゲストは、小説家の雲仙 悦人(うんぜん・えつと)でーす! 」 「初めまして、悦人です」 悦人(通称、エツ)は小説家だ。これまでに3冊の本を販売しており、どれらもがそこそこの売り上げを出している。WEBライターとしても活動しており、ケイが仕事をしているWEBメディアでも連載を担当している。

      • 【小説】『フロム52! 』 - 経営者・栄吉(1章・第2夜)

        「で、結局私が呼ばれたと」 机に片肘をつき、手のひらに顎を乗せた杏が、満足げにケイと話している。 「ごめん! エイちゃんが来るまでの場つなぎってことで、よろしくお願いします! 」 両手を合わせ、頭を低くしたケイが申し訳なさそうに続ける。時刻は12時1分。ケイがInstagramで配信している、『フロム52! 』の放送中の会話だ。 「杏、先週の放送が評判良くってさ、『また出してほしい』ってコメントも結構あったし、今日もよろしくね」 「その割には、『場つなぎ』って名言し

        • 【小説】『フロム52! 』 - フォトグラファー・杏(1章・第1夜)

          「ぱっ、ぽっ、ぱっ……ぺーん! えー、時刻は12時をまわりました、東京・三鷹市の自宅をキーステーションに、Instagramで配信中! 鯨津 瓜(ときつ・うり)の『フロム52! 』。今回のゲストは、フォトグラファーの杏ちゃんでーす! 」 声高にタイトルコールをした女性は、鯨津 瓜。 「時報、口で言うスタイルなんだ」 そして、間髪を入れずに口を挟んだ女性は唐 杏(タン・シン)。本来は「杏(シン)」という名前だが、周囲からは日本語読みで「杏(あん)」と呼ばれている。 「こ

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