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あやとりりい様 小説

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あやとりりい様の創作作品です。 お時間があれば読んでみて下さいませ。 他のあやとりりい様の小説やNoteの記事も良いので、是非フォローして読んで下さい。 実績のある方です。 こ…
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#紗也佳

アクマのハルカ 第3話 友達なんてただの駒でしかないのよ!

アクマのハルカ 第3話 友達なんてただの駒でしかないのよ!



 目の前を覆った赤い雲は香月麻莉亜(こうつき まりあ)の頭上に止まる。麻莉亜は、本能的にそれには触れてはいけないと感じたから視界に入れるに留めた。
 麻莉亜は教壇の下で銃を握り、安熊ハルカ(あくま はるか)を睨むことで、ハルカからの攻撃を防御した体制を崩さない。ハルカは軽く口を開く。 
 「麻莉亜先生、上手くやったわね!見てよ、上。」
 ハルカは一瞬、麻莉亜から目を離し雲の切れ目を指した。そ

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アクマのハルカ 第4話 真実は違うのよ!人を孤立させるために流された噂。

アクマのハルカ 第4話 真実は違うのよ!人を孤立させるために流された噂。



 香月麻莉亜(こうつき まりあ)は紗也佳(さやか)の言葉に身体が膠着し、言葉が出なくなった。怯える麻莉亜を見て微笑んだ紗也佳が恐ろしい。それでも幾度も辞めたいと思いながらも教壇に立ち続けてきた毎日が麻莉亜を救った。その場から逃げることをせず、無意識にチョークを持ったのだ。

 黒板を睨みながら麻莉亜は考えた。ここであの子との経緯を紗也佳に正直に話し、一緒に開放されるべく手を組むことを提案しよ

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アクマのハルカ 第5話 悪意の引き受け手として麻莉亜先生が必要だったのよ。

アクマのハルカ 第5話 悪意の引き受け手として麻莉亜先生が必要だったのよ。


 紗也佳(さやか)の手を掴むことができず、再び安熊ハルカ(あくま はるか)との対峙となったが、香月麻莉亜(こうつき まりあ)は、今度ばかりは攻めの体勢を崩さない。
 左手にしっかりと銃を握り、撃つ時を狙っていた。

 「ほらみて、紗也佳は居ないけど、一美(かずみ)、双葉(ふたば)…十子(とおこ)……一七(かずな)の17人も新たに戻ってきたわ!麻莉亜先生、すごーい!!」
 言葉では、麻莉亜が多く

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アクマのハルカ 第7話 生きにくいのは真実から目を背け、人との対話を避けたから!

アクマのハルカ 第7話 生きにくいのは真実から目を背け、人との対話を避けたから!



 両肘を教壇に付き、上目遣いで香月麻莉亜(こうつき まりあ)を見つめる瞳は、麻莉亜にとっては銃より怖い殺人鬼だった。例え華奢な身体も相まって可愛らしい小悪魔に見えても、目の前でクラスの生徒たちをどんどん取り込んでいったのだから。
しかしこの子に取り込まれたはずの生徒たちが今、麻莉亜の目の前にいる。

 なぜ?

 麻莉亜は、生徒1人1人の顔を見る。叶海(かなみ)、奈津美(なつみ)、紗也佳(さ

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アクマのハルカ エピローグ 生物教師として残したいものがある。

アクマのハルカ エピローグ 生物教師として残したいものがある。



 暑い。盆地は熱が籠もると聞いてはいたものの、ここは恰も蒸し風呂の様で、たまに吹く風はロウリュウの様に全身を汗だくにする。「盆地、見くびっていたわ。」と香月麻莉亜(こうつき まりあ)は思った。

 都心から約1時間、新しい赴任地はやっぱり女子高だった。
 あちこちの大学から助教授の座で来て欲しいと誘われたものの、麻莉亜は生物の先生でいたかったから、心置きなくお断りした。



 テープ起こ

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